保育園モモ PDF 印刷 Eメール
 
評価機関名株式会社 学研R&C
評価実施年月平成1812公表年月平成193
対象サービス児童(保育所)対象事業所社会福祉法人 蒼生会 保育園 モモ
 
     総合評価(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項)

<特に優れている点>

 

 設立5年目ということもあり建物や設備は新しく機能的に充実したものになっています。特に、各保育室にそれぞれの厨房を設置したり、冷暖房や床暖房も備え、申し分の無い施設環境になっております。ハード以外の環境面からいえば、落ち着いた物腰やゆったりした雰囲気のもとに、おだやかに子どもたちと接する職員も、人的保育環境の一環としてすばらしいことです。

 

 保育そのものについては、シュタイナー教育の理念のもとに明確な哲学をもって保育にあたっています。各職員はその理念を理解したうえで保育をしています。全体的にはおだやかな雰囲気のもとに保育していますので、どの子どもたちもゆったりした雰囲気をもっており、集団行動のときによくある子ども特有のかんだかい声や乱暴さは見られません。

 

 上記のようなシュタイナー教育を中心とした保育をしていくためには、その考え方の理解とともに、一般的な保育との融合も考えなくてはなりませんので、職員はかなりの内容を把握して、深めていかなくてはなりません。そのためには職員の人材育成がキーポイントになりますが、保育園モモでは職員の育成に関する研修体制は充分整っています。副園長を中心にした頻繁に行う個別研修や職員が参加する分野別グループ研修(給食、アレルギー対策、災害事故対策、環境整備、発達、保健衛生などの6つの委員会)などがあり、各委員会ともリーダーのもとに充実しています。また、外部研修も自主的に参加するような雰囲気づくりをこころがけています。

 

  

<改善すべき点>

 

 シュタイナー教育のもとの保育ということも影響しているせいか、地域の各社会資源との連携や活用が不充分と感じます。園長や副園長が機会をみて理念や考え方について対外的に説明をしているとのことですが、なかなか理解を得られないこともあって、消極的になっていると思われます。一部独特の保育ですがすばらしい保育をしているのですから、機会あるごとに説明し、徐々にでも理解してもらい、地域連携のもとに活動していくための努力をしていくことをおすすめします。

  保育園モモは、常勤職員と非常勤職員が半々の比率になっています。一般的には、やや非常勤の職員が多い構成でしょう。こういった構成の場合は全職員の緊密な連携や均質のサービス提供は、よほどの組織としてのまとまりがないと難しいものがあります。事実、非常勤職員の一部に勤務内容に偏りがあるのではないかという意見も出ています。当園は研修内容も充実していますので、今一度、非常勤職員へのメンタル面のフォローも考えて、見直すことが望まれます。 
                   評価領域ごとの特記事項
   人権への配慮 

 子どもたちが伸び伸びとしていて、また、礼儀正しく、静かな雰囲気をかもしだしているのは、やはり、職員のおだやかな振る舞いと言葉づかいで接している影響が強いと思われます。そして、一人ひとりを人間として向き合っていますから、そこには男女を区別するような言動も玩具も備品もありません。やはり、シュタイナーの思想が影響していると感じます。

  また、個人情報や守秘義務についても徹底した管理を行い、職員もマニュアルに従い、理解を深めています。さらに虐待に関しては機関に通告することだけでなく、家庭とも連携をとり、対話につとめ、誠実に対応しています。 
  利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援

 とりもなおさず、「共生と自立」を前提とした保育理念で、その理念のもとに保育しています。絵画や音楽的表現などの活動においても、職員は、子どもたちの自由な発想や独創性を大事に、個々の子どもたちと接しています。

  また、日々の施設での生活においては、子どもの個としての心を大事にしています。つまり、子どもの自主性を大事に、子どもが今何をしたいのか、そのしたいものが心から湧き上がってくるのをじっと待っています。職員は強要するような働きかけを排除し、全ての面で自立した生活に移行していくような触れ合いを大切にしています。 
  サービスマネジメントシステムの確立

 危機管理については、大変熱心に取り組んでいます。安全管理、保健衛生管理及び災害時対策などのマニュアルも整備され、全職員に配布されています。職員に対する内部研修の実施や外部の研修も積極的に受講しています。特に救命講習会はほとんどの職員が受講しています。園舎への入口は一つで、インターホンが設置されていて、保護者は、入り口の事務所にいる職員に、クラス名と子どもたちの名前を伝えて、職員が確認し、開錠して入る仕組みです。このとき後から来た人の連れ込みを堅く禁じています。

 

 事故管理は、どんな小さな事故でもインシデントレポートを作成して、事故の内容、再発防止策などを記録して全職員に周知しています。このように細かな配慮をして、アクシデントにならないように心がけています。特筆すべきは感染症対策室を設け、感染症を未然に防ぐ手だてを講じていることです。

 

 災害時の避難訓練については、内容を変えて月一回実施しています。なお、保護者に対しては、災害時の連絡先や子どもの引渡し方法など細かく園のしおりに書いてあります。

 
   地域との交流・連携 

「子育て広場 モモ」と称し、おもちゃ作り、親子相談、子育て交流など、それぞれ月一回行っています。また、一時保育や育児相談にも応じ、地域の子育て家庭の保育力を高めるため、開かれた施設を目指しています。子育て支援サークルをサポートする形で、保育講座や手遊びなど保育サービスの提供も行っています。

 

 保健福祉センターの保健師、児童相談所職員、医療機関、相模原市役所など保育をするうえで必要となる関係各機関を明確にし、全職員が対応できるようなマニュアルが作成されています。障害児や気になる児童に対しては、相談や診断を依頼するなど連携が地域の療育センターとなされています。また、虐待を疑われる子どもに関しては、児童相談所との連携のなかで、さらに保護者への支援も行っています。

 

「子育て支援 モモ」への参加は近隣だけでなく、遠方から来園される方も多く、シュタイナー教育の実践を求める人へ広く保育サービスを行っています。

 

 今後の課題としては、さらに地域へ向けて、園の理念や方針などの情報を発信して理解を深め、利用者と地域住民との交流やボランティア受け入れなどを充実させ、地域に根ざした保育園となることを望みます。

 
  運営上の透明性の確保と継続性 

 シュタイナー教育を基盤にした保育を行っていること、そして、その考え方を表明して募集し、賛同された家庭の子どもを預かっていますが、地域住民に対して、園の考え方を積極的に情報発信している姿勢はやや欠けているように見受けられます。もちろん、利用希望者に関しましては、事前見学や事前説明は積極的に行い、園としての保育理念を理解していただく努力はしています。

 

 現在、園としては、子育て広場事業や育児相談や一時預かりなど間口を広める努力をしています。今後とも、園としての地域へのさらなる透明性の確保と継続性の推進を望みます。

 
  職員の資質向上の促進 

 人事考課表に従い、個人の課題達成度を評価し、報酬に反映させた仕組みで充分客観的に行われています。達成度および評価に関しては、職員が理解できるよう面談を行うなど、こまかな対応をしています。また、年2回の個人面談と通常の業務のなかでの副園長を中心に行っている個別研修で、意見や要望を汲み取る仕組みができており、アドバイスを受けられるようになっています。

 

 育児休暇や介護休暇などの福利厚生制度を実施しています。そして、「モモの会」という親睦会もあり、食事会などで楽しいひとときが持てるようになっています。

 

 保育全般に関することがらについて6つの委員会(給食、環境整備、発達、アレルギー、保健衛生、災害事故防止)を設け、全職員がどれかの委員会に属し、リーダーのもとに研修を行っています。外部研修に関しても、積極的に参加できるように、常に情報を流しています。

 

 また、月に一度は、言語造形やオイリュトミー講座(シュタイナー教育の内容の一つ)の専門家による研修を行い、個人の資質が高められるように計画、実施されています。

 

 今後さらに充実発展させていくためには、実習生を積極的に受け入れ、シュタイナー教育を理解してもらい、次世代への継続を図るとともに、正規職員と非常勤職員がともに業務を行ううえで、互いに意見や要望をだしあい協力しあってすすめていく仕組みの構築などが望まれます。

 
   評価詳細(PDF 273KB)