社会福祉法人 常成福祉会 丹沢レジデンシャルホーム(2回目) PDF 印刷 Eメール

総括

評価機関名社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会
評価実施年月平成19年10月25日~平成20年7月9日
公表年月平成20年7月
対象サービス障害者支援施設(身体障害者療護施設)
対象事業所社会福祉法人 常成福祉会 丹沢レジデンシャルホーム

総合評価

 

優れている点:

 

〇利用者権利の尊重  ①権利保障システムの確立

 

本施設では、「ライフサポートシステム(個別生活支援システム)」、「リスクマネジメントシステム(生活環境の安全管理システム)」、「サービスマニュアル(支援手法の標準化システム)」、「サービス評価システム」に「苦情解決システム」をあわせた5つのシステムをサービス提供の基盤としている。システムごとの検証とともに、システム間の相互検証を行うことにより、サービス提供における利用者の権利保障のチェック、セーフティネットの機能を確保している。このシステム間の相互検証の仕組みは法人独自に開発されたものであり、「権利保障システム」と位置づけ、法人全体で利用者の権利尊重を徹底している。

 

 

〇利用者権利の尊重②利用者自治の徹底

 

 本施設では、設立当初より、「利用者自治制度」を取り入れ、施設運営を利用者と協働で進めてきた経過があり、施設運営に対する利用者参加が徹底している。施設運営に対する利用者の要望や意見は、利用者のみで構成する「自治会」でとりまとめられ、自治会役員と施設との協議結果も、「自治会」から全利用者に報告が行われるなど、利用者自治は徹底しており、施設は自治会の自主性、独立性を尊重した側面的支援を行うよう配慮している。一方、施設としても毎月の「居住者会議」で利用者から直接、要望や意見を受ける機会を確保するとともに、毎年実施する法人全体での自己評価の際には、必ず利用者評価も実施するなど、利用者意見を施設運営に反映させるよう、きめ細かく対応している。

 

 利用者調査の結果でも、利用者から「自主的な生活ができる」「自主・自由を守ってくれる」といった意見が多く寄せられていることからも、法人の基本理念「自由・自主・自律の尊重」が、日常のサービス提供場面で具現化されていることが窺われる。

 

 

〇実践教育の充実

 

本施設では、サービス運営の基盤としている「リスクマネジメントシステム」や「苦情解決システム」などの各種のサービスシステムの実績検証から、事業所における課題が確実に把握される仕組みを構築している。この仕組みと人材育成研修のシステムとを連動させ、現状の課題や職員からの要望を反映させた、実際の課題に即した実践的教育研修に取り組んでおり、職員の資質向上、組織力の向上と提供するサービスの質の向上を相乗的、効率的にはかっている。

 

 

   

独自に取り組んでいる点:

 

〇地域生活移行・継続支援

 

 施設では、施設が有する専門性を活かした地域生活移行支援として、入所施設の利用定員枠内で、病院生活から地域生活への移行期にある人を対象に、生活訓練など目標を明確に定めたうえで、一定期間内、施設入所サービスを利用できる「施設ミドル入所支援」の仕組みを施設独自に展開している。施設の有する拠点機能や介護力、支援の専門性を発揮した地域支援の取り組みは日常生活支援から緊急時などの危機管理対応まで、在宅障害者の生活場面に幅広く対応している。

 

 

 

評価領域ごとの特記事項

    (優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項)
1.人権の尊重

〇本施設では、心身の障害等により意向の表明や意思表示がされにくい利用者やコミュニケーションが比較的困難な利用者も多く利用しているが、利用者及び利用者家族が意向や希望を表明しやすいよう、月1回の定期的な面接の実施など機会の確保をはかっている。また、コミュニケーションの方法も利用者にあわせて手段を工夫するなど、多面的な手法を用いて、意向把握に努めている。把握した意向や希望については個別支援内容に即時反映できるよう、柔軟なカンファレンス体制をとって対応をはかっており、コミュニケーション手法の工夫による意向把握についての取り組みは高く評価できる。

 

〇本施設では、利用者が、施設運営に参加するための環境づくりとして、「居住者自治会制度」を取り入れ、施設では自治会の主体性、独立性を尊重した運営支援に配慮している。利用者の施設運営に対する要望は自治会役員がとりまとめて施設と協議し、結果は、自治会から利用者に報告される。施設としての説明は、毎月の居住者会議で行うとともに、利用者から直接、意見や意向を受ける機会としている。また、自己評価の一環として、利用者評価も毎年実施されているなど、運営に対する意向や要望を述べられる機会、方法は複数確保されており、利用者が施設運営に対する意向を申し出やすい環境作りと利用者参加のもとでの施設運営についての取り組みは高く評価できる。

  
2.意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

〇本施設では、年度当初に行う「アセスメント」により、利用者の心身状態や意向を反映した個別支援計画を作成し、内容については、担当職員とサービス管理責任者から利用者に別個に説明を行ってから合意を得るという二重確認の方式をとっている。判断能力が不十分な利用者に対しては、成年後見制度の利用支援など、利用者の希望等に応じた個別対応もはかっている。個別支援計画は、年度末総合評価と半期に一度のモニタリングのほかに、利用者の心身の状態変化の発生時など、必要に応じてカンファレンスによる検討をもち、即時に見直し、対応できる体制を整備しており、個別支援計画の合意プロセスと見直しシステムについての取り組みは高く評価できる。

  

〇本施設では、個別支援計画策定時のアセスメント及び毎月の定期的な面接等で、本人のこれまでの生活習慣や望んでいる暮らし方を確認し、個別支援計画に盛り込んでいる。利用者によっては、希望する暮らしの実現に向け、本人が自ら計画内容を立案することを支援するなど、エンパワメントの視点を盛り込んだ個別支援計画の策定についての取り組みは高く評価できる。

  
3.サービスマネジメントシステムの確立

〇本施設では、苦情解決担当職員を複合的に配置し、受付・解決体制を整えると同時に、日常からの意向把握を重視することで、苦情の迅速な解決につなげられるよう、月1回の利用者面接を行い、利用者からの要望・苦情をきめ細かく聞く機会を設けている。当事者オンブズマンの導入も含め、第三者委員は十分な人員体制を確保しており、直接的な苦情相談のみでなく、施設運営などについて多面的に助言を受けるなど第三者委員を積極的に活用している。さらに法人全体での苦情解決結果を資料化し、役職員に周知するなどして常に問題意識をもって業務を行う環境づくりに努めているなど、苦情の迅速な解決に向けた取り組みは他の参考となる。

 

〇本施設では、利用者の意向や希望を尊重するためには、個別のリスク管理が重要であるという考え方のもと、リスクマネジメントマニュアルを策定し、利用者の状態把握やヒヤリハットの集計・分析結果などをもとに、利用者の個別リスクを把握し、支援計画や個別ケアマニュアルに明記して、リスク管理を徹底している。あわせて、蓄積データの分析から事業所として起こしやすいリスクの傾向を把握し、内部実践教育により、事故防止に取り組んでおり、利用者の個別リスク管理ならびに事業所としてのリスク管理によるリスクマネジメントは他の参考となる。

 

〇本施設では、マニュアルを“利用者の権利を保障するもの”と位置づけ、利用者個々に詳細な個別ケアマニュアルを作成し、個別対応をはかっている。サービスマニュアルと提供の実態にズレが生じていないかを検証するために、業務改善提案制度やマニュアル検証といった、サービスマニュアルのチェックシステムを整備しており、複眼的、客観的な検証によるマニュアルの見直し、変更についての取り組みは優れている。

 
4.地域との交流・連携

〇本施設では、「障害者の地域生活移行(継続)」の実現に向け、サービス事業者として専門性、機能性を活かし、独自に「ミドル入所システム」を実施している。在宅障害者の危機管理面でも、緊急通報システムや防災協定による緊急受入れなど、地域におけるサービス拠点としての役割を担っており、地域福祉の推進に向けた事業所の機能を活かした地域支援についての取り組みは高く評価できる。

 
5.運営上の透明性の確保と継続性

〇本施設では、職員参加による毎年1回の自己評価が継続されており、さらに利用者評価をはじめとする複数の評価を同時に実施することにより、自己評価に多角的な視点を盛り込んでいる。“評価のための評価”で終わらないよう、評価で明らかになった課題について確実に改善をはかるために、自己評価システムの中に、評価後の課題解決、改善までの工程が包括されており、サービスの質の向上に向けたサービス評価への取り組みは他の参考となる。

 
6.職員の資質向上の促進

〇本施設では、サービス運営の基盤として、リスクマネジメントシステム、苦情解決システムなどの各種のサービスシステムが確立されており、これらのサービスシステムの実績の検証から、事業所としての課題把握が確実に行われる仕組みを構築している。実践教育委員会を設置し、年間計画に基づく研修の実施のほか、サービスシステムの検証をもとにした現状把握、職員からの提案・要望等を反映させた実践的教育研修の取り組みは優れている。

 
評価詳細(PDF 225KB