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【施設の概要】
新 鶴見ホームは、川崎市と隣接する横浜市北部に位置し、平成12年5月に開所しました。当ホームは鉄筋コンクリート5階建てで、特別養護老人ホーム214床、ショートステイ56床、デイサービス1日定員40名と、都市型の大規模施設です。運営法人は、社会福祉法人横浜市福祉サービス協会であり、同法人は当ホーム以外に特別養護老人ホーム2施設、地域ケアプラザ18館、ホームヘルプ・居宅介護支援事業等を運営しています。当ホームの運営理念は「お客さまの満足を第一に考え、必要とされるサービスを提供し、地域と共に歩みます。」であり、「毎日を、こころ豊かに暮らしていただきたい。」と、きめ細やかな介護を心がけ、利用者が毎日安心して、穏やかに生活出来るようなサービス提供を目指しています。
◆ 高く評価できる点
1、重度化している高齢者の積極的な受け入れ
入所定員214名の当ホームでは、利用者の平均年齢は約84歳で、90歳以上の利用者は60名を超えています(平成19年7月1日現在、以下同じ)。医療依存度の高い利用者が50名おり、認知症の利用者は130名にも達しています。歩行することが困難な利用者が56.5%、食事の全面介助が必要な利用者は34.5%、入浴時に全面介助が必要な利用者は53.7%、衣服の着脱時に全面介助が必要な利用者は58%、おむつ利用者は42.9%と利用者の心身の状況は重度化が進んでいます。これに対し、看護・介護職員は常勤換算124名で支援に従事しています。業務量が非常に大きい中で工夫をこらし、高いレベルの支援技術によりきめ細かいサービスを提供しています。
また、平成18年度は年間49名の方が亡くなっていますが、このうち28名の方について、ご家族の同意の上、施設内で看取りを行なっています。当ホームでは「死を早めることも、死を遅らせることもしない、自然に訪れる死を支える方法でケアを行う」ことを方針として掲げ、家族と何回も話し合いを行い、その人にあった看取りを誠実に実施しています。
2、尊厳を第一にしたケア
当ホームでは身体拘束ゼロを目指し、身体拘束廃止検討委員会を設置して、拘束廃止に向け努力してきました。平成15年度まで多数あった拘束ですが、平成16年度には「ゼロ」目標を達成しています。また、今年度は「身体拘束廃止推進モデル施設」として神奈川県の指定を受けるまでになっています。
さらに職員からは、「単に身体上の拘束を廃止するだけでは、真に目標を達成したとは言えない」との声が上がりました。そこで、「尊厳を支えるケア委員会」を立ち上げ、身体拘束は勿論、心理的な虐待防止まで範囲を広げた人権擁護に、施設全体で取り組んでいます。
3、研修体制と研修実績の充実
当ホームは、大規模施設のメリットを活かし、研修担当者を配置した上で、年間100種類以上の研修を独自に企画・実施しています。それに加えて、運営法人が大規模で、運営基盤がしっかりしているため、法人主催の研修も多岐にわたり、19年度は100を超える研修計画があります。非常勤職員も参加対象に加え、多くの職員がこれらの研修に積極的に参加しています。また、研修に参加した職員は報告書を作成し、関係する職員にその内容を知らせる等、研修成果の共有も図っています。この研修体制が支援技術の向上を促し、きめ細かい介護の実施につながっています。
◆ 独自に取り組んでいる点
1、フロアごとの独自性を尊重したケア
各階には、それぞれ48名から64名の利用者が生活しています。1つの階では2つから4つの「ユニット」を編成し、この「ユニット」がサービスの提供体制の一単位となっています。人数的には各階がそれぞれ1つの特養と言ってもいい規模であるため、各階にフロア長を、「ユニット」ごとにケアリーダーを配置しています。各階では利用者の特性に十分に配慮し、階ごとに個別援助計画を策定させるなど、フロア長にかなりの権限と責任を与え、各階の独自性を尊重したシステムでサービスを提供しています。 特に2階のフロアでは、職員の発案により平成16年度からユニットケアをモデルとし、4つの「ユニット」(1ユニット12名程度の利用者)で、1日の流れに沿って家庭的な環境でのケアを実施しています。 4つのフロアを観察すると、各階ごとに特徴があり、それぞれが独自性を発揮しています。各階のこの独自性はお互いの切磋琢磨を生み、全体としてよいサービス提供につながっています。今後は共通的に取り組むべき部分について、分野別の責任を各階に割り振る(食事サービスにかかるケアは○階、入浴介助は○階、事故防止対策は○階という具合に)等、各フロアの長所を活かしつつ、全体として更なるレベルアップを実現することが重要です。
2、地域交流室の設置
当ホームでは、施設建設時に地元からの要請もあり、1階部分に「地域交流室」を設けています。この地域交流室では、地域の子育て支援グループの他、趣味の会等の地域のボランテイア団体も活動を行なっています。特別養護老人ホームが地域交流室を持ち、地域住民に拠点を提供していることは、高く評価できます。
しかし、地域交流室の貸し出し実績は、残念ながら必ずしも高くなく、地域交流室で活動する団体と施設入所利用者との交流はほとんどありません。利用者と地域住民とのふれあいが、この拠点を通じて実現できる方策が望まれます。
◆ 改善や工夫が望まれる点
1、情報の共有と職員間の連携
大規模施設の一般的な弊害である職員間の情報共有と連携については、当ホームにも課題があります。フロアごとの施設運営によりこれを解決しようとしていますが、施設全体で共通的な情報の伝達については、フロア制が邪魔をし、一般職員まで情報がうまく伝達されていないようにうかがえました。業務処理へのパソコンの全面的な導入、見やすいケア記録や白板の利用等あらゆる手段を使い、この課題を克服していくことを期待します。
また、施設長・特養課長・フロア長・ケアリーダーという職階制はきちんと機能しているように伺えました。一般職員のモチベーションも高いレベルにあります。一方、福祉施設で共通の課題でもありますが、パート職員が多いこと、職員の交代が多いこと等から、職員集団全体に管理者層の意思が理解されているかについては疑問が残りました。職員全体が「一体感」をもって施設運営にあたることができる職場環境の構築に向けて、更なる努力を期待します。
2、事故防止への取り組み
特養214床・ショートスティ56床の大規模施設であること、重度化が進んでいること等が遠因と思われますが、事故の防止・減少を図るために、施設で自主的に作成している事故報告書やヒヤリハット事例を見ると、事故件数は少なくありません。ヒヤリハット事例を含め、発生した事故個々については原因の検討を行っていますが、組織全体としての根本的な防止策の検討が望まれます。
3、利用者の身体的機能の維持
重度化している利用者が多いことが理由かも知れませんが、利用者の身体的機能の維持への取り組みが不十分であるとうかがえました。歩行訓練、体操、レクリエーション等を各フロアで実施していますが、重度の利用者へのサービス提供が優先されるため、そうでない利用者への機能維持サービスが不十分と考えます。機能訓練については職員数という制約がありますが、個別ケアを原則とした取り組みを期待します。
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