港北区 新横浜パークサイドホーム PDF 印刷 Eメール

総 括

対象事業所

特別養護老人ホーム 新横浜パークサイドホーム

経営主体(法人等)

社会福祉法人 千里会

対象サービス

特別養護老人ホーム

事業所住所

〒222-0033 横浜市港北区新横浜1-22-4

設立年月日

平成17年(2005年)3月1日

評価実施年月

平成22年2月 ~平成22年6月

公表年月

平成22年7月

評価機関名

福祉サービス第三者評価機関しょうなん 株式会社フィールズ

総合評価(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項)

[施設の概要]

 施設は、社会福祉法人千里会により平成17年3月に開所されました。理事長は医師であり、訪れる患者に高齢者が増えてきたという実感から、高齢者への施設を充実させたいと考えました。そのため家族の望みも含めて、特別養護老人ホームは「終の棲家(ついのすみか)」となりうるという想いで新横浜パークサイドホームを開設しました。

 利用者へ良質のサービスを提供するには、職員が、生活基盤の安定と仕事への将来展望を持てることが必要不可欠との考えです。そのため、厚生労働省の「介護職員の処遇改善の推進にあたってキャリアパス(介護職員が能力・資格・経験等に応じた処遇が適切になされるための仕組み)に関する取組みの推進」要件を満たし、利用者にとっても職員にとっても良い結果になるような運営を目指しています。

 建物は、JR新横浜駅から徒歩10分程の9階建てで、隣には公園があり、近隣には川が流れる静かな環境です。1階から2階は駐車場と事務所で、3階が機能訓練室兼クラブ活動室、4階から9階までが居室のフロアとなっています。各フロアにはスプリンクラーが設置され、介護ステーションと食堂兼リビング、入浴設備、トイレがあり、居室は、4人部屋4室と個室2室の定員18名と少人数であるため、家庭的な雰囲気を保っています。4人部屋は、個人のベッドがパーテーションとカーテンで仕切られていますので、プライベートが守られる空間となっています。

 定員はショートステイ12名を含めて108名です。現在は平均要介護度4.24、平均年齢85.8歳の利用者が入居しています。

 

≪優れている点≫

1. 理念に沿った運営の仕組み

 利用者が安心しておだやかに生活出来るように、安全を心がけて介護にあたるべく「安全・安心・安堵」を理念にしています。「当たり前のその人らしい生活」をケア目標として掲げ、理念の実現に向かって、各種会議、委員会、内部研修を計画的かつ積極的に行っています。

 理事長が出席する毎週の運営会議や毎月のフロア会議では多職種が参加して、利用者への対応の検討や職種間の申し送り、各種情報の共有が行われています。各会議の結果は、フロア長から職員へ伝えて周知しています。

 また、分野別に委員会を設置して毎月開催し、日常的にサービスの改善と水準の維持に努めています。委員会には「感染褥瘡委員会」「食事排泄委員会」「安全防災委員会」「研修委員会」「苦情対策委員会」「行事委員会」等があります。

 介護サービス改善の一つの取り組みとして、人間の尊厳の基本となる「当たり前の排泄・入浴ケア」を目指して、トイレでの排泄および個浴(機械による「特浴」ではなく、1人用の浴槽で1人ずつ入浴する方法)の実践にも力を入れています。取り組んだ事例は、「かながわ高齢福祉研究発表大会」の場で発表しています。

 

2. 人材育成の仕組み

 新卒を定期的に採用し、新人には、1年間、先輩職員をチューターとしてつけてOJT(職場での実務を通じて行う教育)を実施しています。新人研修も計画的に行われています。

 研修委員会によって新人研修と施設の非常勤職員を含む全職員を対象とした研修の年間計画が作成されています。交代制勤務を考慮して研修は同じ内容で2回行われるものもあり、全員が参加できるよう配慮されています。3つの専門委員会(感染褥瘡、食事排泄、安全防災)による研修とそれぞれの専門職または外部研修参加者による研修があり、内容は食中毒、排泄、入浴、防災訓練、ノロウイルス、食事、介護技術、緊急時対応、医療、ターミナルケア、認知症、虐待拘束、マナー、リスクマネージメント、プライバシー、倫理、法令遵守、個人情報等介護に関係するテーマが網羅され、必要な研修が計画的に行われて介護サービスの技術水準を高めています。

 また、外部研修への参加者が、研修内容を施設内研修の場で報告し、他の職員との情報共有を図っています。

 ケアマニュアル(食事、排泄介助、入浴介助、特殊入浴、救急対応、看取り介護、認知症対応、口腔ケア等)をはじめ、各種マニュアルを整備してまとめたファイルを各フロアに置き、職員が何時でも確認できるようにしています。

 

 

≪改善することが期待される事項≫

1.地域の介護への支援

 町内会の盆踊りや餅つき大会等で地域の人達と親しむ機会があります。しかし、施設の行事に近隣の方を招待したり、施設の介護機器を貸し出したりしての地域との開かれた関係作りが、これからの課題になっています。

 窓口や電話での介護についての相談は対応していますが、施設が主催して地域住民の為の福祉相談会や介護についての講習会等が実施されるまでには至っていません。今後、増加すると思われる地域住民の福祉を支援する為に、他の施設との協働や公共施設での出張講座等の様々な様式を考慮して企画・実行することが今後に期待されます。

 

評価領域ごとの特記事項

1.人権の尊重

① 利用者が安心して安穏に生活出来るように、安全に心がけ介護にあたるべく「安全・安心・安

 堵」を理念に、「当たり前のその人らしい生活」をケア目標として掲げ、利用者を尊重した支援を実

 践しています。理念の実現に向かって、各種会議、委員会、研修等を計画的かつ積極的に行い、

 日々の支援に努めています。

② プライバシー・個人情報・倫理・法令遵守についての研修を実施し、全職員が自己点検を行い、

 不適切な介護を行っていないかを再確認し、意識を喚起しています。

③ 18床の居室とリビング兼食堂を1フロアとする小グループでの落ち着いたケアが行われていま

 す。居室はパーテーションときれいな色のカーテンで仕切られているため、明るく、プライバシー

 が守られる環境となっています。利用者は居室に気に入ったものを持ち込み、趣味やクラブ活動

 をする等、個々のペースにあった生活を送っています。

 

2.意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

① 食事の献立は季節感を大切に考え、毎月一回は行事食(季節食)をお重で提供する等、食事メ

 ニューに変化を持たせる工夫をしています。また、利用者の要望を取り入れた丼物を献立に取り

 入れて利用者から好評を得ています。

② 機械浴に頼らず、一人用の浴槽で一人ずつ入浴介助する取り組みを積極的に行い、利用者か

 らも喜ばれています。介護度が高く、立位が難しい状態の利用者でも、小さな一人用の浴槽内に

 滑り止めマットを敷いたり浴槽台を置く等の工夫をして入浴介助しています。

③ 利用者の排泄の現状の把握をして尿意、便意のない利用者、意思を表出できない利用者の座

 位のアセスメントを行い、座位の不安定な利用者であっても排泄の姿勢を補助する台を利用する

 ことによって、出来る限りトイレでの排泄に誘導しています。この取り組みによりオムツを外すこと

 が出来るようになった利用者も多数います。

④ 座位での食事を大切に考え、病気時、困難時以外はベッドから離れて全員が食堂でとっていま

 す。食事時に加え、おやつ時にも必ず離床を促しています。身体状況に合わせて、機能訓練室で

 は身体訓練、歩行訓練、関節可動域訓練等が行われています。

⑤ 看取りについては、家族や本人の意向を確認し、施設が行えることを説明して支援の方針の共

 有化を図っています。「重要事項説明書」や「看取り契約書」の中には施設の看取りに関する指針

 が盛り込まれています。

⑥ 年に2回、施設内にお買い物サロンが設けられ、月に2回、美容師の来訪があり、希望に沿った

 ヘアスタイルのカット、パーマ等ができます。利用者は居室でそれぞれ思い思いに過しています。

 なかには自分の居室をアトリエと称し、水彩画を描くことが日課となっている利用者もいます。映

 画クラブ、工作クラブ、歌クラブ、水彩塗り絵クラブ、メイククラブの5つのクラブがあり、利用者は

 希望により参加し、それぞれ活動を楽しんでいます。

 

3.サービスマネジメントシステムの確立

① 施設全体として、毎週、理事長(医師)、統括部長、施設長、介護部門責任者、介護支援専門

 員、生活相談員、看護職員、必要に応じて管理栄養士、機能訓練指導員等が参加して運営会議

 を開いています。また、毎月複数の職種の職員が参加してフロア会議を開き、利用者への支援の

 検討や職種間の申し送り及び各種情報の共有が行われています。各会議の結果は、フロア長か

 ら職員へ伝えて周知しています。

② 個別援助計画は、入所前に利用者本人や家族と面談し、利用者の状況および意向を把握する

 ためのアセスメントを行い、入所後に再度アセスメントを行って計画作成に活かしています。見直

 しの際も、アセスメント、モニタリング、カンファレンスを複数の職種の職員が参加して行っていま

 す。カンファレンスには基本的に利用者や家族にも参加してもらい、参加が困難な方からは、カン

 ファレンス前後に意見や要望を聞いて、計画作成時に反映させています。利用者の状態に変化

 があった場合には随時、変化が見られない方へも年2回は見直しをしています。

③ 毎月開かれる「安全対策委員会」において身体拘束の有無を確認しています。また、虐待及び

 身体拘束に関する研修や、拘束となり得る事例検討を行う等、職員へ周知徹底し、身体拘束廃止

 に向けて積極的に取り組んでいます。家族からの申し出があった場合でも身体拘束は行わない

 こととしています。

④ 利用者の服薬についての情報は個人ファイルで管理し、介護職員は常に把握、確認していま

 す。薬は看護職員から各フロアの介護職員にそれぞれ一包化して渡され、薬を飲む時間を包に

 記入して誤薬がないよう細心の注意を払っています。与薬時には必ず二人の介護職員によって

 ダブルチェックされる等の対策を講じています。

⑤ 看護職員は毎朝介護職員から申し送りを受け、全フロアを回って利用者の様子を把握していま

 す。特に状況の変化があった利用者については、再度様子を伺い、医師の受診や家族と話し合う

 等して対応しています。

⑥ 感染褥瘡委員会、食事排泄入浴委員会、安全防災委員会、研修委員会の各種委員会を毎月

 開催し、また各委員会が中心となって計画的に内部研修を全職員へ行い、職員の資質向上およ

 びサービスの質の向上を図っています。

⑦ 感染症及び食中毒、事故防止、災害発生時の対応等、各種マニュアルおよび報告書が整備さ

 れています。事故およびヒヤリハット事例の集計・分析・検討、避難訓練の実施、研修を行い、安

 全・安心な支援が出来るように努めています。

⑧ 苦情や要望については、苦情対応マニュアルを整備し、運営会議の中に苦情対策委員会を設

 けて検討しています。経過・対応等を記録票に残し、各フロアへ伝達して職員間で情報を共有して

 います。施設内にはご意見箱を設置し、苦情受付担当者および解決責任者、第三者委員、行政

 からの介護相談員の訪問、公的機関の窓口等、要望や苦情を表明できる場を多数知らせていま

 す。そのほかに、利用者からは日々の会話や様子から、家族からは来訪時や電話等でも汲み取

 るように努めています。21年度には、生活環境や連絡の取り方、援助計画に至るまで広範囲に

 亘って満足度に関する無記名式の家族アンケートを実施し、自由書き込み欄も設けて意向や要

 望を聞き反映させています。

 

4.地域との交流・連携

① 近隣にはマンションも多く地域の介護へのニーズに対応して、短期入所サービスを12床用意し

 ています。

② 町内会の「街を花で飾ろう」や「消火訓練」「盆おどり」等の隣接する公園で行われる行事に施設

 からも積極的に参加して、行事の中で地域の人達と交流しています。福祉の相談等もあります。

③ 窓口や電話での介護についての相談は対応していますが、施設が主催する地域住民の為の

 福祉相談会や介護についての講習会等が実施されていません。地域の福祉を支援する為に、他

 の施設との協働や公共施設での出張講座等の様々な様式を考慮して企画・実行することが今後

 の課題になっています。

④ 地域のボランティアにクラブ活動の指導や食事介助などで活躍してもらっています。

⑤ 地域の中学校生徒による福祉体験学習の受け入れや、保育園児の訪問等により地域との交

 流に努めています。

⑥ 施設利用者が、町内会の盆踊りや餅つき大会に参加し、地域の人達と触れ合う機会を作って

 います。しかし、施設の行事に近隣の方を招待することや、施設の機器を貸し出して地域の行事

 に協力する等の地域との開かれた関係作りはこれからの課題になっています。

 

5.運営上の透明性の確保と継続性

① 介護に関わる倫理や法令順守、プライバシー、個人情報保護については、年間計画の中で、

 職員全員に知識と社会的責任について研修を実施しています。また、職員の倫理規定を各フロア

 に掲示し、他施設での事例に関する報道記事を回覧や配布することで意識の向上を図っていま

 す。

② エレベーターの効率的使用や自治会のペットボトルキャップ回収運動に参加しています。ま

 た、トイレの照明はセンサーによる自動点灯にするなど、設備面でも省エネルギーに配慮した環

 境で運営しています。

③ 事業拡大を見据えた中長期計画を作成し、効率的な運営を目指しています。事業計画は、サ

 ービスの質の向上とレベルアップを基本方針として、職員の待遇等の改善と資質向上や利用者と

 その家族からの苦情への対応と満足度の向上、災害への対応などを重点課題にして事業の社

 会的責任を見据えた内容になっています。また、平成21年度に会計の外部監査を受ける等外部

 の専門家の意見を積極的に受け入れています。

④ 関係機関に短期入所施設の空室状況を伝えたり、パンフレットを配布しています。施設の概要

 についての施設利用希望者等の外部からの問い合わせや、施設の見学を希望する方への対応

 をしています。また、横浜市ホームページには施設の概要がありますが、現在独自のホームペー

 ジの作成を計画する等積極的に施設の内容を社会に広く開示する姿勢があります。

⑤ 介護職員の将来の不足に備えて、EPA(経済連携協定)による介護福祉士候補生をインドネシ

 ア、フィリピンから積極的に採用しています。

 

6.職員の資質向上の促進

① 比較的余裕のある職員数で運営されています。また、人材の確保の為に定期的に新卒採用を

 行っています。

② 「フロア長評価基準表」等の職員の職制に応じた評価表があります。例えばフロア長には「理念

 を理解しているか」等の項目があり、職員に求める能力の基準が明確にされています。

③ 介護福祉士の国家試験に向けた施設内の研修を行ったり、認知症介護実践研修に毎年2~3

 名を参加させたりしています。

④ チューター制度を採用して新人を特定の職員が1年間指導していますので、新人の教育が行

 き届き、チューターを務めることで職員の幹部としての自覚も育てています。

⑤ 研修委員会が作成する年間研修計画があり、各分野の研修に効率よく全職員が参加できるよ

 うにしています。

⑥ 職員は、施設外部の研修をはじめ内部研修を積極的に受けています。研修報告、会議及び委

 員会議事録は、各フロアへ配布し、回覧して情報の共有を図っています。

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