社会福祉法人すみなす会 航 PDF 印刷 Eメール

 

評価機関名社会福祉法人横浜市社会福祉協議会 横浜生活あんしんセンター
評価実施年月200711月~20083公表年月20086
対象サービス障害者支援施設対象事業所航(わたる)

〔施設の特色〕

 

○障害者支援施設「航」(以下「航」とする)は、平成135月に同法人の運営する「横浜市釜利谷地域ケアプラザ」と併設して開設されました。施設は、京急金沢文庫駅から約2Kmの閑静な住宅街の中に位置し、緑が多く、野鳥やリス・狸などを見ることが出来る自然豊かな環境にあります。施設の敷地の隣には、地元小・中学校の通学路があり、地域の子どもや住民の日常的な通路になっています。

  

○「航」は、施設入所の他に、短期入所事業、5ヶ所のケアホームや自立生活訓練ホーム、航作業分室の運営も行っています。法人としては、地域ケアプラザの他に金沢地域活動ホーム「りんごの森」を運営し、日中活動事業、生活介護事業、地域交流事業のほか、地域福祉に関する相談支援事業も実施しています。施設の基本理念・基本方針の実践に向け、法人全体で一貫した地域生活支援を実施し、地域福祉への貢献に努めています。

  

○知的障害児・者の親の会や、地域作業所などから有志が自主的に集まり、障害者の地域福祉について勉強会を行ったのが、施設の運営法人「社会福祉法人すみなす会」の始まりです。法人名は古語「住み成す」を語源とし、障害のある人たちが誇りを持って、地域で自分らしく豊かに暮らすことを願い設立されました。

   

特に優れていると思われる点

  

地域への理解促進のための取り組み

 

施設機能の提供と地域の人々との交流を積極的に行い、施設及び障害者への理解促進に取り組んでいます。

 

毎年6月に開催している法人の恒例行事「すみなすフェスタ」では、同法人の「釜利谷地域ケアプラザ」や地域活動ホーム「りんごの森」と協働して、バザーや模擬店などを出店し、広く地域住民の参加を募っています。平成18年に開催された「創立5周年記念すみなすフェスタ」では、200名以上の地域住民の参加がありました。また、町内会に防災用の小型消火車を置くスペースを提供したり、プロジェクター、車椅子用の体重計など、備品の貸出しを随時行っています。

  

地域のリサイクルバザーなどに定期的に出店したり、地域のマンション管理組合との共催で講演会を開催するなど、地域住民や関係団体との交流を図り、利用者が地域を身近に感じられるよう取り組んでいます。地元町内会とは、とりわけ積極的な交流を行っており、お祭りには積極的に協力しています。夏祭りには職員が神輿を担いで協力し、施設がお神輿のコースに入っているので、利用者が神輿を担いだりして交流を行っています。また、平成15年より「地域防災協定」を締結し、併設の地域ケアプラザと共同で、防災用備蓄食料をストックしているほか、町内会と合同で実践的な避難誘導訓練を定期的に実施しています。

  

「航」の日中活動で収穫したサツマイモを、地元小学校に差し入れしたお礼に、小学校の行事に招待されたり、地元小学校と「航」の使用している畑が近かった縁で、おでんパーティを行い、それをきっかけに、小学生がクラス活動として施設見学に訪れるなどの交流を行っています。

  

○また、利用者と職員が協力して、「航」近隣のスーパーマーケットのあき缶回収をしたり、通学路の枯葉掃除や雪かきなどを行っています。このような様々な取り組みは、施設および障害者への理解促進と障害者福祉の啓発となり、利用者の地域移行を推進するものとなっています。

 

 

 

事故防止と安全管理に向けた取り組みへの姿勢

 

 

 

○利用者の障害の重度化が進むなか、医療依存度の高い利用者や、問題行動や逸脱行動など対応に配慮の必要な利用者の増加に合わせ、「事故予防が最大の支援」であるという施設方針のもと、「航」では、平成194月より「リスク管理委員会」を発足し、利用者の安全確保・事故防止と職員のスキル向上に向けての取り組みを始めています。

 

○「リスク管理委員会」は年6回定期開催され、事故やヒヤリ・ハット事例の発生件数と内訳について統計を取るほか、ヒヤリ・ハット事例をもとにして実際の支援場面に活用する方法を検討したり、事故防止のマニュアル作成に向けた職員の状況調査を行うなど、様々な取り組みが行われています。

○サービスの質が一定に保たれるようにするためには、業務マニュアルを整備し、共有化を図ることが不可欠です。そのためには、現状に沿った内容にし、職員に活用されるマニュアルを整備することが必要です。また、継続性のあるマニュアルを整備するにあたっては、定期的なマニュアルの見直しが不可欠です。マニュアルがより身近で、活用されるものにするためには、職員全体で見直しを実施することが望まれます。さらに、マニュアルを周知徹底するためには、マニュアルを用いて職員研修を実施するなどの取り組みも必要です。すでに、職員から意見を募り、事故防止マニュアル作成に反映した実績もありますので、これらの取り組みを拡大していくことを期待します。

 

③法人のネットワークを活かした、地域生活を意識できるような支援 

○ノーマライゼーションの原理に基づく法人理念「地域の中での普通の生活を支えます」を基盤として、地域移行を見据えた支援や、「航」においても地域生活が意識出来るように、法人全体で様々な事業に取り組み、その機能やネットワークを活かした取り組みが行われています。

  

「航」では、地域での生活により近い、生活単位を414名とできるだけ小さくしたユニット制を取り入れています。また、ケアホームや自立生活訓練ホーム、紙漉(かみすき)の作業スペースと販売を兼ねる分室などを運営しています。これらの機能・特性を活用し、相互に連携を図ることで利用者が段階的かつ効果的に地域生活へ移行する支援をしています。

  

「航」では、平成1910月1日より障害者自立支援法による新体系に移行して支援を行っています。開所以来「日中活動支援」(デイ支援)と「居住支援」(ナイト支援)に分離し、平成15年度より日中活動に専門職員を配置し、支援を行っています。また、居住ユニットと日中活動のスペースは完全に分離されており、「昼間は外に出て活動し、夜は家に帰ってゆっくり休む」という生活が、「航」で実施されています。

  

「航」から地域移行を目指す利用者は、同区内の一戸建の住宅を利用した自立生活訓練ホーム「帆海(ほなみ)」で、小人数(4)による地域生活を体験して、実際の地域移行に向けた生活訓練を行っています。多くの利用者が、この事業を経て地域移行した実績を持っています。

  

同法人で金沢地域活動ホーム「りんごの森」を運営し、生活介護事業や相談支援事業を通じて、地域で生活する障害者をサポートしたり、施設サービスを必要とする利用者に対して情報発信を行うなど、地域の福祉ニーズにきめ細やかに対応しています。また、現在、5ヶ所目のケアホームの運営を予定するなど、積極的に地域移行への取り組みを行っています。今後、法人全体の専門機能やネットワークを生かし、他の福祉施設や事業者とも連携して、金沢区全体の障害者福祉のさらなる充実を図っていこうという意向を持っています。

   

特に工夫や改善などを期待したい点

  

①体系的な人材育成計画の策定を

 

職員の資質向上のために新人研修や現任研修、人権研修を定期的に実施し、月1回の職員会議では、毎回テーマを決めてディスカッションやロールプレイ等を取り入れた勉強会を開催しています。また、外部研修は、県・市社会福祉協議会や日本知的障害者福祉協会主催の研修等に希望者を参加させ、内部研修に活用するなどの取り組みが行われています。

  

○しかしながら、「航」全体としての人材育成計画や職員個々の職務経験、研修ニーズに基づく研修計画を策定するまでには至っていません。また、職員の経験や能力に応じた期待水準は定められていますが、管理者レベルで認識されているだけで、職員への周知までには至っていません。効果的に人材育成を行うには、施設の職員構成を考慮し、職員や管理職に期待される役割や人材育成の方法などを明確にした人材育成計画の策定が必要です。同時に、現在実施している内部研修や外部研修を、階層や職種に分けて整理し、体系的な研修計画を策定されることを期待します。さらに、職員ごとの職責や役割を明確化したり、職員のモチベーションを高めるためにも、現在ある職員の期待水準をもとに、各職員の能力や適性・経験に応じた目標を設定し、定期的に達成度を評価する体制づくりが望まれます。

   

○法人理念や基本方針が職員に周知徹底されていなかったり、マニュアルの存在等についての認識が職員によって差がある等、組織全体のコミュニケーションが充分に図られているとは言えない状況が散見されました。人材育成を「航」の課題として認識されていますので、全職員が理念や基本方針に沿ったサービスを提供するために、施設長をはじめとする管理職がリーダーシップを発揮し、職員と管理職が一体となって人材育成に取り組まれることを期待します。そのためには、施設全体のコミュニケーションを円滑にし、職員がやりがいを感じる職場環境づくりが求められます。

  

業務マニュアルの見直しと共有化を

  

施設では利用者の安全管理や適切な支援の実施に向け、感染症対策や事故防止、身体拘束への対応など、職員の行動規範を定めた指針・通知を多数策定し配布するほか、日常的な支援の手順を定めた各種マニュアルを整備しています。また、特に配慮を要する利用者に対しては、事故防止チェックリストを使用したり、居住ユニットごとに個別の対応手順をマニュアル化するなど、一貫性のある支援を実践しています。これらの指針や通知、各種マニュアルは、「航」内のパソコンのデータベースに保存され、イントラネット(インターネット技術を活用した施設内ネットワーク)を通じて「航」内の各部署に配信されています。

  

○しかし、居住ユニットごとに作成された個別の対応手順マニュアルは、利用者の状況に応じて定期的に見直されているものの、「航」全体で共有する標準的な支援マニュアルについては、定期的な見直しが行われるまでには至っていません。衛生管理や感染症予防対策などに関するマニュアルについては、随時新しい情報を追加して整備し、安全管理に努めていますが、全体的な整合性を確認したり、「航」の実情に応じた見直しは行われていません。また、マニュアル類が「航」内パソコンのデータベースで管理されていることもあり、十分に周知されていないマニュアルがあるなど、共有化が図られていない状況も散見されました。

  

○サービスの質が一定に保たれるようにするためには、業務マニュアルを整備し、共有化を図ることが不可欠です。そのためには、現状に沿った内容にし、職員に活用されるマニュアルを整備することが必要です。また、継続性のあるマニュアルを整備するにあたっては、定期的なマニュアルの見直しが不可欠です。マニュアルがより身近で、活用されるものにするためには、職員全体で見直しを実施することが望まれます。さらに、マニュアルを周知徹底するためには、マニュアルを用いて職員研修を実施するなどの取り組みも必要です。すでに、職員から意見を募り、事故防止マニュアル作成に反映した実績もありますので、これらの取り組みを拡大していくことを期待します。

  

○これらマニュアルの充実に向けた取り組みを通じて、職員の資質向上、業務や情報の共有化を図るとともに、職員間のコミュニケーションがさらに円滑化することを期待します。

  

より主体性を尊重した個別支援計画の充実を

  

個別支援計画は、健康面や日常生活面、コミュニケーション、社会参加、就労など7領域に分かれた施設独自のアセスメントシートに基づき利用者の特性を把握し、利用者の現状と課題、将来の展望、それぞれの課題解決に向けた長期・短期の目標が明記されています。作成した個別支援計画は、利用者・家族に説明され、利用者から同意の署名・捺印を可能な限り得ることとしています。しかし、個別支援計画の作成や見直しにおいて、利用者・家族がカンファレンスに参加するまでには至っていません。また、個別支援計画は、必要に応じて随時見直しを行うようになっていますが、状態変化の少ない利用者など、全ての利用者に対して定期的に実施するまでには至っていません。

 

○利用者の自立と地域生活への移行を目指す上では、利用者自身が主体性を持ち、課題に取り組む姿勢を持つことが大切です。そこで、個別支援計画の作成・見直しにおいては、利用者の主体性を尊重するために、利用者・家族の意見や要望にも積極的に目を向ける姿勢が重要です。個別支援計画の作成・見直しに利用者・家族が参加することは、意向を正確に反映した計画となり、利用者の主体性を尊重することで、利用者・家族の満足度や信頼感が高まることも考えられます。さらに、利用者から直接意見を聴くことは、日々のコミュニケーションだけでは得られない様々な意見や要望の把握にもつながり、支援内容の振り返りの機会となるのではないでしょうか。

 

○利用者のニーズに沿った個別支援を実践するためには、A(Assessmentアセスメント)→P(Plan計画)→D(Do実施)→C(Check評価)→A(Action見直し・改善)という一連のサイクルが適切に機能することが大切です。これら一連の流れを、「随時」と「定期」の両面で確認・実施するほか、2つの「A」をさらに強化することで、より立体的な支援の実現が可能になるものと考えます。また、計画の作成や見直しの際には、事前に看護師や栄養士から意見は聴いているものの、複数の職種が参加するカンファレンスを開催するまでには至っていません。今後は、更なるサービスの向上にむけて様々な職種が参加するカンファレンスを開催し、目標の達成状況やサービスの実施状況を定期的に評価し、見直すことが望まれます。個別支援計画の充実と、今後の更なる個別支援の実践に期待します。

 
 

評価領域ごとの特記事項

 人権への配慮 

○施設の基本理念として、①地域の中での普通の暮しを支える、②利用者との約束を守り適切に支援する、③利用者・家族の個々人に必要な支援の提案、④地域に根ざした必要とされる施設を目指す、の4点を掲げノーマライゼーションの原理と契約に基づくサービス提供、利用者の個別性を尊重した支援、地域支援の拡充を目指す支援を行っている。

 

○居室は個室・多床室ともに全室内鍵付きで、利用者の意向で随時施錠出来るようになっており、外出時や、利用者が独りになりたい時などは、随時施錠可能となっている。

 

○個人情報の取り扱いについては、就業規則の服務規定に記載しているほか、利用者・家族等に対しては、利用契約書において「守秘義務」を規定し、個人情報の保護は職員の義務として明文化している。守秘義務について、職員からは誓約書をとっている。

 

○「重要事項説明書」に、苦情受付の相談窓口として、生活支援課長や地域支援課長、第三者委員の氏名・電話番号を明記しているほか、苦情申し立ての担当機関として、横浜市福祉調整委員会、かながわ福祉サービス運営適正化委員会の電話番号・受付時間を記載し、利用者・家族が苦情・要望を出せるよう配慮している。

 

○「体罰について(通知)」で、体罰行為を一切禁止しているほか、万が一発生した場合の厳正な罰則措置についても明文化している。また、同「通知」を、各居住ユニットのスタッフルームに掲示しているほか、施設内パソコンにも掲示され、随時確認できるようにして、周知に努めている。

 
 利用者の意思と自立生活への支援に向けたサービス提供

○利用者の居住スペースは、定員414名の小人数で生活する6つの小規模ユニットからなっている。また、各ユニットは、利用者の身体状況や障害特性に応じて、職員配置や設備環境を機能分化して、利用者の状況に沿った生活環境を提供している。

 

○各居住ユニットをはじめ、施設全体がバリアフリーとなっているほか、居室のドアも開き戸と引き戸を併用して採用している。

 

○転倒の可能性がある利用者に対しては、居室に畳を敷くなど、利用者の状態に合わせ適宜対応している。また、ベッドから転落の可能性がある利用者に対しては、適宜布団に変更するなど 柔軟に対処している。

 

○生活能力の向上に向けて、個別の買物プログラムや外出支援等をルーチンワークとして設定している。

 

 

○問題行動・逸脱行動の改善に向けては、安易に管理・制限するのではなく、利用者と正面から向き合い、粘り強く個別対応を実施して、「利用者自身の認識を深める支援」を実践する方針を持っている。

 

○日中活動は、農業・陶器製造を行う「農耕・陶芸班」、ペットボトルやアルミ缶などの回収・分別を行う「リサイクル班」、自動車部品等の組み立てを行う「外注班」、作業分室では、紙漉きや陶芸品の販売を行う班など、いくつかの作業班に分かれ、活動を実施している。また、作業だけにとらわれず、歩行練習やマッサージ・書道・絵画など、利用者の障害特性に合わせ個別のプログラムを実施する「アクティブ班」があり、それぞれの作業班ごとに利用者の状況や意向に沿った日中活動を実施している。

 

○日中活動の参加は、利用者から直接要望を聴いて決定するほか、意思表示困難な利用者に対しては、各作業班を可能な限り体験してもらい、その時の表情や行動などを把握し、家族の意向を聴き取るなどして総合的に判断し、決定することとしている。

 

○食事時間は、配膳から下膳まで1時間以上を確保し幅を持つように配慮されている。調査時には、それぞれ個人のペースに合わせゆったりと食事をしていた。

 

○利用者の状況に応じて、テーブルの高さ調節が可能な「カットアウトテーブル」を使用している。また、安定した座位の保持が困難な利用者に、足台を設置することで、座位の安定を図り安全確保に努めるほか、個室で食事を摂るなどして利用者の精神的不安の軽減を図った事例がある。

 

○年に1回、利用者に書面での食事アンケートを実施しており、アンケート結果を献立に反映している。また、職員が毎日記入する検食表には、利用者の反応を記載する内容もあり、その結果を月1回の医務・給食会議で検討し、献立に反映している。

 

○利用者の状況に応じて外食の機会を複数設定し、外食時には自分の好みの食事をとれるようにするほか、施設内でも当日まで何が出るか分からない「お楽しみランチ」「お楽しみディナー」を定期的に提供して、食事を楽しめるよう工夫している。また、年数回程度、ユニットによって利用者の希望に添い、お菓子作りやお好み焼き作りの機会を設けている。

 

○利用者支援マニュアルである「日常生活への支援」において、排泄習慣を身に付ける具体的方法を明文化して、排泄指導プログラムを実践している。

 

○利用者への意思伝達は、理解しやすいよう様々な方法・手段を工夫している。具体例として、長期間の予定把握が困難な利用者に対しては、数日前に知らせるようにするほか、日めくりカレンダーにイラストを載せるなどして予定を理解できるように支援している。対応方法については、日々の支援の中で職員に伝達するほか、職員会議で周知するなど、各居住ユニットや日中活動の支援職員にも情報が共有出来るよう対応している。

 

○預り金の使途状況は、家族等に対して年2回(4月・10月)に残高のお知らせと帳簿の写しを送付している。また、求めに応じて即応出来るようにしている。

 

○金銭の自己管理に向けて、買物後、職員の支援で小遣い帳に記帳するなど金銭管理の支援を行っているほか、個別の買物プログラムを作成している。また、利用者の状況に応じて、小遣いを自己管理できる日数を徐々に増やせるようにするなど、能力の向上を目指した支援を実施している。また、細かな計算ができない利用者が、お札を出してお釣りをもらうといった流れを学習し、買い物ができるようになった利用者もいる。

 

○利用者家族が疾患や高齢などの理由で、権利擁護事業の活用が必要と思われる場合は、随時、成年後見制度等の説明を行っている。利用者の内、現在8名が成年後見制度を利用している。
 サービスマネジメントシステムの確立

   

○施設独自のアセスメントシートを準備しており、①健康・身体面(医療や疾患、睡眠など)、②日常生活・活動面(食事や排泄、整容など)、③コミュニケーションスキル(会話や理解力など)、④社会生活技能(対人関係や金銭管理、社会的規範や危機管理能力など)、⑤社会参加(レクリエーションや余暇活動など)、⑥就労参加、⑦家族関係の7領域ごとに確認項目を明確化している。

 

○利用者の日中活動プログラムの決定にあたっては、実際の体験を通じて様子観察を行い、家族にも意見や同意を求めながら選択するようにしているほか、グループホームへの移行についても、夕食や休日の日中など、様々な生活場面を体験しながら徐々に時間数を増やすようにするなど、期間にもゆとりを持って実施し、利用者の意向に沿って進められるよう配慮している。

 

 

○「事故予防が最大の支援」として、施設の対策指針を明示した、「リスク管理(事故防止)の指針」がある。また、事故発生時の連絡・対応・記録・報告方法や、緊急対応手順を図式化したり、事故の種類別に処置・発生要因・防止のための留意事項などを明記している。「事故防止チェックリスト」では、内容を食事関係、医療関係に分け、利用者ごとの障害特性に応じた注意事項、具体的対応策を明記して、適宜確認を実施している。「医療関係」では、17項目からなる与薬チェック表・検温表・排泄チェック表等を用い、利用者のより詳細な状態把握に努めている。

 

H194月に事故防止のための組織として「リスク管理委員会」を発足させ、2ヶ月に1回程度の割合で開催している。生活支援課長補佐、各部署の代表職員がメンバーとなり、報告された事故・ヒヤリハット事例の分析と、施設内の事故防止および安全管理について、検討している。委員会では、事故報告を分析し、確実な服薬支援に努め、服薬事故の件数を減らした実績がある。

 

○施設の防災訓練は、併設するケアプラザと合同で年2回実施しており、3月には地域防災協定に基づく夜間想定の避難訓練、10月には大規模地震を想定した防災訓練を行っている。

 

○職員室入り口に意見箱を設置して、随時利用者・家族からの要望・苦情を受付けているほか、利用者からの苦情は、随時職員や管理職が聞くようにしている。

 

○施設としての苦情解決に関する方針は、「苦情解決に関する規則」や「苦情解決に関する要領」で明文化している。「苦情解決に関する規則」では、苦情の定義や施設の苦情解決体制について明記されているほか、「苦情解決に関する実施要領」においては、苦情・要望に対する基本的な心構えや具体的な苦情解決手順、受付・報告・記録・確認方法、苦情申出者への回答期限なども明文化している。

 

○過去の苦情・要望に関する情報は、年度別に書面と電子データで「苦情解決」ファイルに管理・保管されている。また、年度ごとに統計を取り、支援内容に反映している。利用者の苦情・要望を受け、具体的対応に反映したケースとして、利用者の身体的状況に合わせ、居室備品を改修して位置変更を行った事例がある。

 

○施設の運営理念や方針を記した重要事項説明書や契約書には、ふりがなをつけており、絵やジェスチャーを交えながら説明したり、実際の支援場面を見てもらうなど、利用者が理解しやすいように工夫して説明している。

 

○利用者毎の支援目標、支援内容・具体的取り組み、支援の評価、次年度計画、将来への展望、本人の希望が記載された「作業支援計画書」があり、その計画に沿って日中活動が行われている。

 

○余暇活動の意向は、希望を伝えることができる利用者には聞き、希望を伝えることができない利用者には、いろいろな活動を提供していく中で、利用者の表情や行動を見ながら好みを把握し、余暇活動を個別化している。

 

○雑誌等の購入は、本人の希望に基づき自由に購入出来る。また、新聞も個別に購読できるほか、各居住ユニットで購読したい新聞を、利用者に希望を聞き決めている。利用者の希望で、スポーツ新聞を購読している居住ユニットや、ファッション雑誌を購読している利用者もいる。

 

○保安上、一部施錠を実施する居室があるものの、原則として施設内は施錠をしていないので、一人で外出できる利用者は、いつでも買物や散歩することができるようになっている。一人で外出が困難な利用者については、職員体制に応じて付き添いが可能な限り、利用者の希望に沿って外出するようにしている。

 

○施設の嘱託医が月1回往診し診察を行っているほか、週1回の内科医の往診、皮膚科医による月1回の往診がある。健康に関する相談はこれらの往診時に、随時相談できるようになっている。また、施設の看護師も日常的な健康管理に加え、相談を受けたり、利用者の状況に応じて助言・指導を行っている。

 

○利用者の服薬管理を確実に行うことを重要視し、服薬手順を定め、利用者別のチェック表により適切な服薬に努めている。服薬の手順は「与薬システムの確認事項」に従い、医務室からの搬出、居住ユニットごとの配薬、服薬前の呼称および目視による利用者の確認、服用後の確認、記録など5段階の手順を職員2名で実施することを基本として、確実な服薬支援に努めている。

 

○利用者の家族等に対する情報提供は、年1回「航家族協力者の会」の総会で行うほか、定期的に帰宅する利用者については、家族が送迎に来訪された際などにも行っている。また、行事のお知らせや、広報誌を送付する機会などを含め年10回程度は家族に書面で連絡を行うほか、必要時には随時個別に連絡を行っている。そのほか、夏季・冬季の休暇の際は「帰省連絡表」を、週末帰省の際には「帰宅表」を活用して、現状の報告を行っている。

 

 地域との交流・連携 

○施設の提供する在宅支援サービスとして、短期入所事業を実施しているほか、障害者自立支援法に基づく生活介護事業(定員60名)を実施している。また、関連施設である「りんごの森」で実施する相談支援事業では、電話や面接相談のほか、訪問相談の受付も行っている。施設で実施する短期入所事業では、H18年度実績は、延べ352名・利用延べ日数1,621日となっている。ニーズが高く、自立生活訓練ホームの空床などを利用して対応している。

 

○地元町内会である「白山道町内会」とは、金沢消防署と合同で防災訓練を実施し、救急蘇生術の講習会も同時開催しているほか、車椅子の使用方法についての講習会を開催した事例がある。また、施設近郊の関東学院大学のゼミ学生に対し、社会福祉施設の意義について毎年勉強会を開催している。H18年には、地域のマンション管理組合等と共催で講演会を開催し、約80人が参加した実績がある。

 

○夏に開催される「白山道まつり」には、神輿かつぎに職員が協力するほか、施設の敷地を休憩所として提供したり、盆踊りや地域の運動会にも積極的に協力を行っている。

 

○毎年6月に開催する「すみなすフェスタ」は、同法人のケアプラザや地域活動ホーム「りんごの森」と協働して、バザーや模擬店などを出店し、広く地域住民を受け入れている。

 

○施設の日中活動で収穫したサツマイモを施設近隣の小学校に提供したり、小学校のイベントに招待されたり、地区のリサイクルバザーなどにも出店するなど、地域住民や関係団体とも積極的に交流を行っている。

 

○施設利用者の理解促進に向け、職員と利用者が一緒に、近隣の商店や飲食店等に出かけ、利用者の障害特性を説明し理解を求めるなどして、利用者が円滑に社会資源を利用出来るよう配慮している。

 

○施設ホームページを開設しているほか、法人の広報誌「すみなす会後援会報/KSKすみなす」を年2回発行し、後援会員や利用者家族、各関係団体に送付して情報提供を行っている。

 

 運営上の透明性の確保と継続性 

○施設の就業規則・服務規定において、不正・不適切な行動を禁止し、明文化しているほか、(財)日本知的障害者福祉協会による「知的障害施設職員行動規範」を用いて、障害者福祉に関わる職員の基本的姿勢や具体的行動規範、禁止事項を明確化して、職員に周知を図っている。また、「すみなす会管理運営規定」においても、利用者の人格尊重と自由の保障、プライバシーの保護などについて明記して、職員に周知している。

 

○施設および法人の運営状況は、法人のホームページに事業計画・事業報告及び予算・決算報告も提示し、積極的に公開している。また、法人の広報誌である「すみなす会後援会報/KSKすみなす」においても、法人の決算報告と概要について説明文書を掲載したり、後援会の収支報告を掲示するなど、積極的な情報開示に努めている。

 

○施設長は「横浜市知的障害関連施設協議会」を始め、様々な会議に参加するほか、「神奈川県知的障害関連連合会」の幹事や「横浜市人権委員会」の副会長を務めたり、国立の障害児施設に併設される「障害施設指導職員養成所」で教鞭を取るなど、様々な機会を通じて事業運営に関する新しい情報を収集し、実務への反映に向けた分析等を行っている。

 

○施設運営に関する重要な情報は、法人理事長や事務局長、各施設の施設長・課長などが出席する「法人管理職会議」において検討され、運営のための収支予測や社会情勢、利用者の動向等を加味して、重点課題や運営方針を決定している。

 

○施設の中・長期的な計画及び将来の展望は、事業計画書に明文化され、施設内パソコンや法人のホームページ上で公開するほか、職員会議等でも説明を行い、職員に周知している。また、利用者家族に対しては、家族会において事業計画書の説明や、障害者自立支援法移行後の施設の現況と、今後の具体的な事業展開について説明して、理解浸透に努めている。

 

○外部の専門家として、施設の第三者委員でもある他施設の施設長や弁護士などから随時意見を聴取し、事業に反映するようにしている。

 

職員の資質向上の促進 

毎月開催される職員会議の後半に内部研修を併催しており、「救急時の基本的対応」「施設内適応について」などのテーマを設定し、定期的に実施している。外部研修については、神奈川県社会福祉協議会や横浜市社会福祉協議会主催の研修をはじめ、知的障害関連施設の研修会や医療機関主催による疾患の勉強会、地元金沢区におけるケアマネジメント研修、支援スタッフ向けの勉強会などに職員が参加している。

 

○必要に応じ外部研修の内容を参考に、内部研修や日常業務に反映させている。「将来の施設像」をテーマにした内部研修では、ディスカッションやロールプレイを行うなど、外部で学んだ手法を取り入れ、日常業務に反映させるよう取り組んだ実例もある。

 

○過去の事例をもとに、職員間で協議し、事故防止とサービスの向上を目指した取り組みを実践している。誤嚥事故のケースをもとに「誤嚥対策委員会」を設置し、事故防止のための研修会を開催し、食事、水分の摂取方法のほか、利用者のアセスメント方法についての見直しを行った。さらに、他施設の職員を招き、意見交換を実施して、職員同士のスキルアップを図り、誤嚥事故防止に積極的に取り組んだ事例がある。

 

○職員の意向調査を年に1回行ったり、業務改善に向けた職員アンケートを実施している。職員の提案から、職員会議の定例化や利用者との昼食をとることによる雰囲気づくりなど、改善された事例もある。

 

○法人に労務委員会があり、そこで職員に労働条件などについてアンケートをとり職員の要望を聞いたり、年1回または必要あれば随時意見を申し出ている。

 

      

 評価詳細(PDF 881KB)