横浜いずみ介護老人保健施設<泉区> PDF 印刷 E-mail
  
評価機関名株式会社フィールズ
評価実施年月平成184公表年月平成186
対象サービス介護老人保健施設対象事業所

医療法人社団 芳洋会  

横浜いずみ介護老人保健施設

 
総合評価(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善が望まれる事項)

 <優れている点>

 1.  家庭復帰への取り組み

 当施設は、介護老人保健施設が家庭復帰のための中間施設との位置付けから、積極的にリハビリに取り組み、利用者の自立を支援しています。施設長の医師のほかに理学療法士が1名常勤し、この他に3名の非常勤の作業療法士も週に25日来所しており、毎日複数のリハビリの専門職員によって、多彩な機能回復のプログラムが実施されています。また、機能訓練室以外でも利用者のADL(日常生活動作)向上のため、先のリハビリ専門職員によって、ビーズ編み、塗り絵、カレンダー作り等、利用者本人の身体状況に合わせた軽作業が選択され、利用者が楽しみながら行えるように工夫されています。

 家族には、理学療法士が機能回復の実施状況を詳しく説明していますが、この他に、在宅復帰に向けての相談は、施設内だけでなく利用者の自宅が片道1時間位の範囲内なら、ケアマネージャーを伴い、自宅を訪問してアドバイスを与えるなど、親身な対応を行っています。 

2.排泄サービスへの対応

 日中は出来るだけポータブルトイレを利用しないようにし、トイレ誘導を行っています。

 尿意を訴える事の困難な利用者の「排泄サイン」の観察をし、確認しながら、個々の排泄リズムに応じて誘導しています。リハビリが途中で中断してしまうと効果が薄れてしまうためリハビリ前はトイレ誘導と決め、また利用者の状況に応じ随時と定時を組み合わせて実施しています。夜間は1F(一般棟)ではコールによりトイレ誘導を行い、2F(認知症棟)では、ラウンド(定期巡回)を頻繁に行いトイレに誘導しています。睡眠を十分に取るため、オムツも上手に使い、オムツからリハビリパンツに変更した実例も出ています。 

3.快適な生活環境 

 居室・廊下は広めに作られ、車椅子の移動走行にも十分に配慮され、館内は清潔に保たれています。2F(認知症棟)居室は朝、職員が清掃を行い日々安全に配慮をしています。害虫駆除は年2回行い、館内の空調も快適な温度に調整されています。また冬の乾燥した時期の加湿に関しては、加湿器は菌が繁殖するため使用せず、濡れタオルや定期的に噴霧器を使い加湿を行い、居室等には観葉植物の鉢植えを置き、心地よい生活環境となっています。      

 

<独自に取り組んでいる点>

1.医療依存度の高い利用者の受け入れ

 当施設では、ケアマネージャー、事務職員等も看護師資格を持ち、看護経験者が多いため、豊富な医療知識のもとに、重度の認知症や失語症、あるいは医療依存度の高い利用者(経管栄養、インシュリン注射)等、特に配慮が必要な利用者を比較的多く受け入れています。

 さらに、月1回の定期的なケアカンファレンス(利用者の具体的な援助計画を作成するための会議)では、医療関係者も交えて話し合い、サービスの実施が単に医療マニュアルの標準的な対応に終わることなく、これまでに培った看護の経験を活かして、出来るだけ利用者一人一人の個別の状態を尊重した対応を行うように心がけています。 

2.衛生管理と感染症対策

 衛生管理・感染症防止マニュアルが整備されており、そのマニュアルの内容はわかりやすく作成し実践されています。感染症の流行時には必ずマニュアルの見直しを行っています。ノロウイルス流行時には、職員・利用者家族に特定の食材を控える呼びかけを行いました。

 過去に、皮膚に関する感染者が入浴の際、マットやバスタオルなどは他の利用者といっしょに使わないようにし感染を防ぐように留意したことがありました。また、インフルエンザの予防注射は利用者、職員および利用者家族も受けています。この結果、平成17年度の感染症の発症は1例もありません。 

3.身体拘束について  利用者の尊厳を守り自立支援を目指す介護老人保健施設として、身体拘束はしない、という大方針のもとにサービスの提供をしています。

 身体拘束に関しては、作業療法士等の専門家に相談して指示を仰ぎ、毎月1回のカンファレンスで拘束廃止マニュアルを通じて、職員に周知しています。 

 

 <改善が望まれる事項> 

1.人材育成への取り組み 

 当施設では、職員に福祉関連の資格取得を義務付けて、それを支援する仕組みはありますが、当施設独自あるいは法人全体での人事考課制度が整備されていません。また、職員の人材育成に関しては、方針を策定している段階であり、具体的な計画の作成までには至っておりません。

 職員個々の能力開発を促進し、援助技術の標準化を図るため、職員の経験・能力や習熟度に応じた役割を期待水準として明文化することが望まれます。また、それと連動した形での職員の育成目標を作成すると共に、その目標への達成度を定期的に評価する仕組みの構築が望まれます。

 2.中長期計画の策定と施設運営 

 事業活動の方向や到達点を示す「事業計画」は目標達成への効率性を含めてその存在が注目されていますが、健全な施設運営のためには中長期計画の策定が望まれます。

 中長期計画は現在作成中ですが、常に先を見据えた課題の設定をし、施設運営を堅実に持続するために必要と思われます。そして職員のモチベーションを高めて施設運営の活性化をうながし、経営基盤の確立に大きく寄与するものと思われます。 

 
評価領域ごとの特記事項
1人権への配慮

当施設の基本方針は、 1)利用者の意思の尊重、2)利用者への自立支援と在宅復帰などを掲げ人権擁護に関する細やかな配慮をしています。

①職員は身体拘束について毎月一回拘束廃止マニュアルを教材として拘束廃止に取り組んでいます。また理学療法士や作業療法士のアドバイスを受け拘束抑制委員会でズレ落ち防止策などの検討をしています。

②プライバシー保護については、個人情報に関する守秘義務につき非常勤職員を含め全職員から誓約書を徴求しています。パソコン上の個人情報も保護管理され、パソコンの施設外持出しは厳禁とされています。

③判断能力の不十分な利用者とその家族に対し、成年後見制度の情報を提供しています。 

 利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援

①作業療法士のアドバイスにより利用者の希望や身体状況に応じた作業を実施しています。また、ADL(日常生活動作)向上のため、ビーズ編み・貼り絵・ぬり絵・カレンダー作りなど、利用者の希望に合わせて行っています。

②日常生活ではメリハリをつけ、利用者の自立を促すためにも、日中は離床して、パジャマから日常着に着替えています。経管栄養の利用者にも離床を促し、生活リズムを働かせるよう刺激を与えています。

③食事は、ベッドから離れて食堂でとり、日中はリビングに案内して、自立支援をうながしています。 

 サービスマネジメントシステムの確立

①当施設は、効果的な介護サービスを行うために、利用者の情報の共有化が不可欠と考え、介護日誌・申し送りノート等の活用により、日々の申し送りを徹底しています。そして医療と介護の記録をし、連携して業務を行えるよう配慮しています。

②月1回開かれるケアカンファレンスは、医療関係者も交えた複数職員が参加し、現在実施しているサービスの問題点や対策等について活発な意見交換を行っています。このように、カンファレンスを活性化・充実させることによって、個々の利用者に合ったサービスを追求し、職員のサービス技術の向上につなげ、介護サービスの質の向上に取り組んでいます。 

  

③サービスの担い手である職員には、カンファレンスを通じて能力向上を図る仕組みが整えられています。施設幹部は、常にプロ意識を持つよう呼びかけ、介護福祉士、ケアマネージャー等の福祉関係の資格取得を義務付けています。

④苦情処理対応マニュアルが整備されており、苦情の報告・対応は月1回のカンファレンスで行われています。要望や苦情解決の取り組みは、意見箱が玄関ホールと他に2ヶ所設けられ「苦情処理のための措置の概要」が掲示され、苦情受付担当者・苦情解決責任者が明示されています。苦情解決のための第三者委員は任命されていません。またその記録は苦情処理議事録に集積されています。

⑤衛生管理・感染症防止には、特に力を入れております。衛生管理・感染症防止マニュアルが整備されている他、感染症(ノロウイルス)の流行期には、職員・利用者家族に、家庭での特定の食材を控える呼びかけを行う等、徹底しています。

⑥事故防止に関しては、事故防止対策マニュアル、事故報告書が整備されています。事故原因の分析は、その日のうちに看護・介護の職員によって行われ、介護日誌・申し送りノート・事故報告書に記入され、早期に職員に周知されています。また、月1回「事故防止委員会・抑制対策委員会」が活動し、看護師長・介護主任が委員会活動を把握し、助言・援助をしています。 

地域との交流・連携

①地域の人達を施設の「芋煮会」に招待をしています。また地域のお祭りでは「みこし」が施設内に入って来て利用者を楽しませています。

②利用者は近所のコンビニへ買物に行ったり、時折り、施設に出店した商店より洋服・小物等の購入もしています。 

③ボランティア活動は、草取りや催し物の手伝いそして水彩画の指導等を活発に行っています。 

 運営上の透明性の確保と継続性

①施設として守るべき法規や倫理は就業規則に明示しており職員間で周知されています。施設の理念や基本方針はサービス・ステーションなどに掲示するほか、各職員の名札の裏にも印刷して自らの意識づけとしています。

②環境問題にも留意し、オムツを紙から布に切替えてゴミの量を節減したり、エネルギーを極力深夜電力に求めるなどしています。

  

③医療法人としての経理の公明性や健全性を示すため、毎年度「決算報告書」を公表しています。

④施設運営の透明性や公平性を確保するため、入退所判定委員会や苦情解決委員会に第三者委員を任命して参画することが望まれます。 

職員の資質向上の促進

①職員にはプロ意識を持つよう呼びかけており、そのため資格取得に関しては、入職3年で介護福祉士、5年でケアマネージャー合格の目標が課されています。施設としては、勉強会を実施したり、合格者には祝金を支給し奨励しています。

②職員のサービス技術向上のため看護・介護スタッフ中心で「サービス向上委員会」を開催し、また外部の歯科医からは口腔ケアの指導を受けています。施設は居室担当制を敷き、委員会にできるだけ権限を委譲して、責任を明確化しています。

③人事考課は過去に取り組んだことがありますが、現在は行われておりません。また、職員の経験・能力や習熟度に応じた役割が、期待水準として明文化されたものも整備されていません。職員個々の能力開発を促進し、援助技術の標準化を図るためにも人事考課制度の構築が望まれます。 

 評価詳細(PDF 321KB)