<優れている点> 1. 家庭復帰への取り組み 当施設は、介護老人保健施設が家庭復帰のための中間施設との位置付けから、積極的にリハビリに取り組み、利用者の自立を支援しています。施設長の医師のほかに理学療法士が1名常勤し、この他に3名の非常勤の作業療法士も週に2~5日来所しており、毎日複数のリハビリの専門職員によって、多彩な機能回復のプログラムが実施されています。また、機能訓練室以外でも利用者のADL(日常生活動作)向上のため、先のリハビリ専門職員によって、ビーズ編み、塗り絵、カレンダー作り等、利用者本人の身体状況に合わせた軽作業が選択され、利用者が楽しみながら行えるように工夫されています。 家族には、理学療法士が機能回復の実施状況を詳しく説明していますが、この他に、在宅復帰に向けての相談は、施設内だけでなく利用者の自宅が片道1時間位の範囲内なら、ケアマネージャーを伴い、自宅を訪問してアドバイスを与えるなど、親身な対応を行っています。 2.排泄サービスへの対応 日中は出来るだけポータブルトイレを利用しないようにし、トイレ誘導を行っています。 尿意を訴える事の困難な利用者の「排泄サイン」の観察をし、確認しながら、個々の排泄リズムに応じて誘導しています。リハビリが途中で中断してしまうと効果が薄れてしまうためリハビリ前はトイレ誘導と決め、また利用者の状況に応じ随時と定時を組み合わせて実施しています。夜間は1F(一般棟)ではコールによりトイレ誘導を行い、2F(認知症棟)では、ラウンド(定期巡回)を頻繁に行いトイレに誘導しています。睡眠を十分に取るため、オムツも上手に使い、オムツからリハビリパンツに変更した実例も出ています。 3.快適な生活環境 居室・廊下は広めに作られ、車椅子の移動走行にも十分に配慮され、館内は清潔に保たれています。2F(認知症棟)居室は朝、職員が清掃を行い日々安全に配慮をしています。害虫駆除は年2回行い、館内の空調も快適な温度に調整されています。また冬の乾燥した時期の加湿に関しては、加湿器は菌が繁殖するため使用せず、濡れタオルや定期的に噴霧器を使い加湿を行い、居室等には観葉植物の鉢植えを置き、心地よい生活環境となっています。 <独自に取り組んでいる点> 1.医療依存度の高い利用者の受け入れ 当施設では、ケアマネージャー、事務職員等も看護師資格を持ち、看護経験者が多いため、豊富な医療知識のもとに、重度の認知症や失語症、あるいは医療依存度の高い利用者(経管栄養、インシュリン注射)等、特に配慮が必要な利用者を比較的多く受け入れています。 さらに、月1回の定期的なケアカンファレンス(利用者の具体的な援助計画を作成するための会議)では、医療関係者も交えて話し合い、サービスの実施が単に医療マニュアルの標準的な対応に終わることなく、これまでに培った看護の経験を活かして、出来るだけ利用者一人一人の個別の状態を尊重した対応を行うように心がけています。 2.衛生管理と感染症対策 衛生管理・感染症防止マニュアルが整備されており、そのマニュアルの内容はわかりやすく作成し実践されています。感染症の流行時には必ずマニュアルの見直しを行っています。ノロウイルス流行時には、職員・利用者家族に特定の食材を控える呼びかけを行いました。 過去に、皮膚に関する感染者が入浴の際、マットやバスタオルなどは他の利用者といっしょに使わないようにし感染を防ぐように留意したことがありました。また、インフルエンザの予防注射は利用者、職員および利用者家族も受けています。この結果、平成17年度の感染症の発症は1例もありません。 3.身体拘束について 利用者の尊厳を守り自立支援を目指す介護老人保健施設として、身体拘束はしない、という大方針のもとにサービスの提供をしています。 身体拘束に関しては、作業療法士等の専門家に相談して指示を仰ぎ、毎月1回のカンファレンスで拘束廃止マニュアルを通じて、職員に周知しています。 <改善が望まれる事項> 1.人材育成への取り組み 当施設では、職員に福祉関連の資格取得を義務付けて、それを支援する仕組みはありますが、当施設独自あるいは法人全体での人事考課制度が整備されていません。また、職員の人材育成に関しては、方針を策定している段階であり、具体的な計画の作成までには至っておりません。 職員個々の能力開発を促進し、援助技術の標準化を図るため、職員の経験・能力や習熟度に応じた役割を期待水準として明文化することが望まれます。また、それと連動した形での職員の育成目標を作成すると共に、その目標への達成度を定期的に評価する仕組みの構築が望まれます。 2.中長期計画の策定と施設運営 事業活動の方向や到達点を示す「事業計画」は目標達成への効率性を含めてその存在が注目されていますが、健全な施設運営のためには中長期計画の策定が望まれます。 中長期計画は現在作成中ですが、常に先を見据えた課題の設定をし、施設運営を堅実に持続するために必要と思われます。そして職員のモチベーションを高めて施設運営の活性化をうながし、経営基盤の確立に大きく寄与するものと思われます。 |