〔施設の特色〕 ○あっぷる保育園鶴ヶ峰は、相鉄線鶴ヶ峰駅南口直結の駅ビル「ココロット」3階にある保育園です。開園3年目の2007年9月に、もともと鶴ヶ峰駅北口にあった園舎を駅ビルのオープンに合わせて移転しました。駅ビルにはスーパー、理容店、レストランなどの店舗のほか、旭区市民活動支援センター「みなくる」もあり、保護者の利便性に加えて、地域住民に保育園の存在をアピールできる環境でもあります。 ○運営主体である社会福祉法人弘前愛成園は、法人本部のある青森県で特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、児童福祉施設など多角的な施設運営を行っています。そうした経験を反映し、日々の活動にも地域住民との世代を超えた交流が多く盛り込まれています。また、土曜は18時まで、平日は21時まで延長保育を行うなど、就労する保護者のニーズに応える取り組みも進められています。「明るく、元気で、素直な子」という保育目標のもと、園では「子どもたちが安心して過ごせる『おうち』」のような環境づくりを目指しています。 ○駅ビル内の現在の園舎に移転してから半年近くがたち、園では今後、地域の子育て支援拠点としての役割を果たすことも視野に入れています。平成20年度は定員の増員をはかり、すでに実施している育児相談や園開放などについても、より広く情報提供を行っていく予定です。 〔特に優れていると思われる点〕 ①園をあげての「食」へ関心を高める取り組み ○園をあげて「食」へのさまざまな取り組みが行われています。「給食指導年間計画」を作成し、「食」への興味、関心を育てるために、野菜の栽培、収穫をして食べたり、大根と切干大根の違いを比べるなど食材に実際に触れる体験をしています。また、お箸の持ち方、姿勢、三角食べ(御飯、おかず、汁物などをバランスよく交互に食べていくこと。)などの食事のマナーを年齢に沿ってすすめたり、栄養士が子どもにも理解しやすいように表を活用して食品の栄養素を説明したり、手洗いの大切さなど衛生面の話をしています。 ○保育士がクラスごとに毎月給食やおやつのベスト・ワーストランキングを作成したり、栄養士がこまめに各クラスを廻って子どもと会話をかわしながら喫食状況の把握をしています。毎月行われる給食会議では、栄養士と保育士が喫食状況や子どもの様子について細部にわたって意見交換し連携を図って、給食の献立や調理方法の工夫や検討を重ねています。お米に栄養価の高い麦をブレンドした麦入りごはんは保護者や子どもたちにも好評です。献立は季節感を大切にし、月2回は新しい献立を取り入れ、行事の際のお楽しみメニューのおやつにパフェを出すなどの工夫もしています。 ○保護者に向けても「食」の大切さを伝えるための取り組みをしています。毎月献立表、給食だより、給食の献立ランキング表を発行し、その季節に合った食材の摂り方や行事食、偏食予防などを掲載しています。園だよりでも三角食べや姿勢などクラスごとの子どもたちの食習慣への取り組みを伝えています。また、好評メニューのレシピを給食のサンプルケースのところに置いたり、保護者から希望に応じて渡しています。試食会は講演会などの行事と同日に行っており参加者も多く、アンケートも実施しています。 ○このような「食」に対する取り組みは、利用者家族アンケートでも「給食の献立内容」や「子どもが給食を楽しんでいるか」などの給食についての項目が90%以上のプラス回答となるなど保護者の満足度の高さがうかがえます。 ③地域との積極的な交流 ○園周辺に商店街があり、散歩の際は子どもが地域や商店の人に積極的に挨拶をしています。商店からも盛んに声かけがあり、子どもたちが魚屋さんで魚を触らせてもらったり、魚をさばく場面を見学するなどの体験をしています。また4、5歳児が地域老人会と近隣の公園で清掃交流をしたり、運動会のプログラムに未就園児や小学生、高齢者向け種目を盛り込むなどの工夫もあります。自治会会長が園の苦情解決第三者委員であり、地域の情報を得やすいことも、地域との交流をより深められる背景となっています。 ○また、月1回、地域ボランティアのシルバーフォークダンスやストーリーテリング(お話会)の人が来園して子どもと交流を図ったり、実習生以外に中学生の職場体験学習も受け入れるなど、外部との人的交流もさかんに行われています。実習生が保育実習終了後にボランティアとして登録し、園の行事を手伝っている事例もあり、開かれた園としての積極的な取り組みから、継続的な関係が生まれているともいえます。 ○こうした地域との交流に加え、保育の専門性を地域に生かす取り組みも行われています。現在園では、地域の子育てニーズに応える取り組みとして、一時保育や園開放、子育て講習会を行っています。月1回の園開放では、全園児と地域の子どもが集ってリズム遊びをしているほか、園開放時や見学時などには子育て相談にも応じています。年に数回、子育てに関する有識者を園に招いて子育て講習会を実施したり、園職員によるベビーマッサージ講座などを行っています。 〔特に工夫や改善などを期待したい点〕 ①環境構成にいっそうの工夫を ○2007年9月に移転した駅ビル内の園舎は、保育室や廊下に十分な広さが確保され、さらにすべての保育室に床暖房が完備されているなど、ハード面の充実が見てとれました。園では現在、睡眠と食事の際にスペースの使い分けをするなどの取り組みが行われていますが、他方、以前の園舎に比べ園庭が狭くなり畑活動が難しくなったり、ビル風で外遊びに制限が出るなど、新たな課題も生じています。利用者家族アンケートでも、外遊びについてより多くの機会を設けてほしいという声が上がっており、いっそうの工夫が期待されるところです。 ○現在は、低年齢児に対しても保育室を仕切ったり意図的に小空間を作るなどの取り組みは行っていませんが、例えば、保育室の広さを活かして、子どもが年齢や発達に応じ少人数でくつろげる小スペースを設けたり、子どもたち自身が自由に玩具を取り出して遊べる環境作りを進めるなどの取り組みを、より積極的に進めてはいかがでしょうか。充実した設備環境の利点を生かし、多様な取り組みが可能であると考えます。デイリープログラムの中でさらに子どもが遊び込め、園が目指す「おうち」のような雰囲気を醸し出すためにも、環境構成へのさらなる取り組みを期待します。 ②保護者とのさらなる連携を ○園では日々の連絡帳でのやりとりや保護者懇談会、年2回の個別面談などで、保護者への情報提供に努めています。しかし、利用者家族アンケートでは、送り迎えの際の情報交換や子どもについての重要な情報の連絡体制について、よりきめ細かい対応を求める声が複数上がっており、必ずしも満足度が高いとは言えない結果となっています。 ○保育園でわが子がどのように1日を過ごしたかは、子どもを預ける保護者にとって一番の気がかりであり、成長ぶりを知ることは大きな喜びでもあります。また、園では現在保護者の組織化は行われていませんが、個々の保護者とあわせ保護者全体の意向を知ることも、日々の保育をより豊かなものにするきっかけとなるのではないでしょうか。保護者と共に保育を作り上げる、いっそうの連携の深化を期待します。 |