社会福祉法人 横浜婦人クラブ愛児園 デュミナス PDF 印刷 Eメール
評価機関名コモンズ二十一研究所
評価実施年月

平成19年11月~

平成203

公表年月平成20 年6月
対象サービス 乳児院対象事業所デュナミス
 
総合評価(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項)

《施設の概要》

 

 昭和22年「社会の再建は、婦人の手で!」というスローガンを掲げた初代理事長を中心とする横浜在住の婦人有志により、「横浜婦人クラブ」が設立されました。昭和29年、身寄りのない乳児を保育するグループとして出発し、その後昭和34年に児童養護施設「誠心学園」、昭和44年に保育所も開設されました。平成13年に改築され、乳児院も「デュナミス」と改名をしました。保育、児童養護、乳児院の3施設を併設し、都市部のニーズに対応した複合型施設として、住宅地の静かな環境の中に建てられています。預かる児童の年齢が3施設とも0歳から学齢前までという特色のもと、給食や研修等を共通で行える利点が生かされています。乳児院の定員は24名で個別担当制の年齢別保育を行っています

  

《特長・優れている点》

 

○マニュアル類等の充実

 

シフト上の5種別の時間帯別に分けた業務マニュアルや受け入れ、引継ぎ、退所、電話対応、面接対応、外出・外泊立会い等が細かい内容まで整備され、ケース記録一式等も整い、サービスの標準化が図られています。今後、業務マニュアル及び乳児デイリープログラムに授乳に関しての記載があるとよいでしょう。

  

○保護者や児童相談所との連携

 

子どもの日常生活の状況は面会時や、毎月の園便りで子どもの近況を伝えています。風邪などの体調の変化時には電話連絡をし、家族が安心できるよう丁寧な対応がされています。児童相談所ともカンファレンスや小まめな連絡等により、日常的に密な連携が図られています。

                             

○ていねいな記録や情報共有

 

保育日誌や保育記録、連絡ノート等、何重にも細かく記録をし、日常の引継ぎをはじめケース会議や家族との面接等でも、情報共有が図れるよう、ていねいに記載されています。保育士の努力と子どもに対する個別的処遇への配慮が高いことが、記録からもうかがわれます。今後、授乳量を個人記録へ転記しておくとさらに良いでしょう。 

   

○食育計画の充実

 

栄養士が「食育事業計画実施・評価」ファイルを作成し、毎月の子ども一人ひとりの目標や残滓、配慮など詳細に記録し、栄養士と食育担当保育士がよく連絡し合い、献立の中に反映させています。また、子ども達とスーパーに行き食材に触れさせ、購入したものを調理実習の材料に使ったり一緒に調理を行ったりしています。給食では「食の安全」にこだわり国産の食材料を使用しています。栄養士も保育会議へ出席し、日常保育内容の把握ができると、更に良いでしょう。

   

《工夫や改善が望まれる点》 

  

○子どもにさらなる声かけ等を

 

 シフト制で勤務内容が決められており、職員は保育等の業務をこなすのに集中してしまっていますが、オムツ換え、授乳時、入眠時等に、子ども達に対してゆったりと沢山の優しい言葉かけ等があると良いでしょう。また、大広間でも玩具や本等、遊びたいものを取り出せる環境整備やおもちゃで遊びこめる配慮を期待します。 

  

○感染症予防等の環境づくりを

 

 衛生管理感染症マニュアルが作成・周知され、嘱託医による健康管理研修が行われ、職員は少しでも病状が出ると子どもたちを頻繁に主治医に受診させて配慮しています。しかし、今後、感染症予防広がり防止のためには、大きな一室での病児との同居状態を改善し、何らかの仕切りを設ける等、安静と感染症予防のための環境づくりの工夫をすることが望まれます。

  

○職員個々のスキルの把握や外部からの技術評価等の導入を

 

 要望や満足度を把握できる個人面談を実施し、個々の能力を把握し、職員の経験・能力や習熟度に応じた役割の明文化等が望まれます。また、援助技術のレベルの確認・チェックを定期的に行うことが望まれます。個々の職員の技術レベルについて、外部からの評価と指導を受ける仕組みを作ることを期待します。

  

○保育技術の専門性の獲得を

 

 20代前半の保育士が多く、夜勤も厭わずに仕事し、乳児院に誇りを持って働いています。このエネルギーを損なうことなく、保育技術等についての的確な指導がなされれば、子ども達への関わり方が大きく変わると思われます。次年度は、主任の配置が予定されています。主任をスーパーバイザーとして育成すると共に、個々の職員の能力や経験に合わせた的確な助言や指導ができる教育機能や支持機能を有効に働かせることを期待します。

  
評価領域ごとの特記事項
 人権の尊重 

ギリシャ語でデュナミスは「可能性」を意味し、法人の理念として 「誠の心を大切にし、子どもの可能性を育みます」を掲げています。当施設の基本運営方針としては、子どもの最善の利益、人権擁護、個別的処遇、家庭的な雰囲気、家庭との協力等が掲げられ、子ども本人を尊重した内容になっています。子どもの人権の尊重についての内外研修が行われ、適切な対応ができるよう努力していることがうかがえます。個人情報の取扱や守秘義務については罰則を含めて職員に徹底を図っています。今後は、個人情報の書類等の施錠を徹底するとともに、今後の対応として、パソコンをパスワード管理すると更に良いでしょう。

 
 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービスの提供  

子どもとの愛着関係を築くため入所から退所まで一貫したこどもと職員担当制を取っています。一日の中で少しでも一緒にいる時間を作るよう心がけ、お誕生日外出や遠足等では一緒に行動し、個別のつながりを大切にしています。午前午後とよく散歩し、午睡時には、幼児はベッドに好きな本、ぬいぐるみを持ちこみ、保育者が添い寝をしたり、心地よい睡眠導入をしています。 個々の子どもの発達段階に応じトイレトレーニング、排泄誘導を行っています。今後は寝付くときだけでなく、玩具、本など子どもが自分で遊びたいものを自由に取り出せるように配慮し、子どもがおもちゃで遊びこめる環境設定を期待します。

 
 サービスマネジメントシステムの確立 

自立支援計画の作成や見直しの際には家族に参加をしてもらい、意見・要望を確認し計画に反映させるとともに、内容の説明をして理解を得るようにしています。帰宅願望の強い家族についても、児童相談所や家族とのカンファレンスや面会、外出等の状況の検討をしながら無理のないように支援をしています。児童連絡票に施設での様子を記入し家族へ渡すとともに、できる限り面会に来てもらい、施設での生活状況を理解してもらうよう努めています。

 

保護者からの要望等はカンファレンス等の来所時や電話等で、直接受け付けていますが、今後は施設内に意見箱等を設置することが望まれます。又、苦情解決のしくみや権利擁護機関等の施設内掲示があると更に良いでしょう。 

                                                                                                                                                                                                                          
 地域との交流・連携 

町内会と消防応援協力について協定を結んでいます。施設としての特性を考慮した上で、地域とどのように共生していくかが課題と考えています。ボランテイアは磯子区のボランティアセンターに登録して、積極的な受け入れを行なっています。現在、地域の人や大学生がボランテイアとして、被服修理や抱っこなど曜日・時間を相談して決め、活動しています。半期ごとにアンケートを実施して、意見や要望を聞いています。今後は、アンケート結果の有効的活用をする等、ボランティアの意見や指摘事項を施設運営に反映する仕組みづくりが期待されます。

 
  運営上の透明性の確保と継続性 

理念や方針は、業務マニュアルの中にも掲載され、周知しており、年頭の職員会議において、理解できているか、確認をするようにしています。現在は、主任がいないために、乳児院の保育内容全体を、ゆとりを持って見渡し指示できる人がいないのが惜しまれます。次年度は主任の配置が予定されています。

 

法人3施設として、2023年までの長期計画と2013年までの中期計画が作成されています。長期計画では、建物の老朽化に伴う建て替え計画、人事評価システムの改善、中期計画では建物の修繕計画案の作成、地域社会への貢献、職員採用や面接方法の見直し、業務フローの改善等が掲げられています。それらの計画により、事業の方向性を定めるとともに、次代の組織運営に備え、経営やサービスプロセスの新たな仕組みが検討されています。

 
    職員の資質向上の促進年間指導計画が作成され、嘱託医による「免疫」「アレルギー」「子どもの事故を防ごう」等の研修や法人3施設合同で「子どもの睡眠」をテーマに大学教授による講演も行われています。子どもの虹情報研修センターによる指導者及び心理職研修を始め、全国乳児院研修、関東ブロック乳児院研究協議会や他の乳児院への見学等、外部研修に参加しています。研修の効果測定や検証が行われていません。また、現状の保育技術が把握されておらず、職員により保育技術等に未熟さも見受けられました。今後は研修内容の成果を検証し見直す等、保育技術のスキルアップを図るための人材育成システムの確立が望まれます。
 評価詳細(PDF 702KB)