西 区 ムーミン保育園 PDF 印刷 Eメール

総 括

評価機関名特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
評価実施年月20086月~20091
公表年月平成12
対象サービス横浜保育室
対象事業所特定非営利活動法人 ムーミンの会 ムーミン保育園
所在地横浜市西区久保町22-4

総合評価(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項)

 

【施設の概要】

  

ムーミン保育園は相鉄線「西横浜」駅から歩いて6分、商店と住宅が混在する地域にあります。近くには藤棚商店街があり、園舎の南側には大谷公園があります。

  

施設定員(産休明け~5歳児)70名、2歳児以下の定員は46名です。随時入・退園ができるため、在籍児の人数は一定しません。平日の開園時間は7時から20時、土曜日は7時から1630分です。鉄筋コンクリート3階建ての建物の23階を園舎として用いています。1階には郵便局が入っています。保育園のために建てられた建物ではありませんが、工夫して用いています。

  

当園は1980(昭和55)に無認可保育所「ムーミン乳児保育園」として開園し、1997(平成9)に横浜保育室の認定を受けました。2005(平成17)に特定非営利活動法人「ムーミンの会」を設立し、園の運営にあたっています。隣には、2006年(平成18年)開設の同じ法人が運営する認可保育所「あそびの杜保育園」があります。乳児のみで運営している横浜保育室が多い中で、当園は5歳児までを受け入れ、認可園と同じような取り組みを行っています。(現在、ムーミン保育園には5歳児が在籍していません)

  

 保育目標として「子育ての科学に基づき、ヒトとしての生体の生活リズムを守り育て、子どもの発達を保障する保育」を掲げています。具体的には、「生活に科学的視点を持った保育」「障害児保育」「快食保育」「ヒトとしての発達の保障をする保育」「仲間と向かい合い、育ち合う保育」となっています。

         

◆◆ 高く評価できる点 ◆◆

  

1子どもたちは思いっきり体を動かして、一日を過ごしています

  

子どもたちは毎日、リズム体操やリトミック、体操、障害物あそび、縄跳びなど、体をたくさん動かし、生き生きと園生活を過ごしています。

  

保育士は乳児と一対一で全身運動(つむぎ体操)をします。足から全体へと保育士は歌いながら一つひとつ丁寧に体操をします。少し月齢が高い子は保育士に腰を支えてもらって手押し車になって歩いたり、ボールを追いかけて遊んだり、ハイハイで移動したりします。0歳児クラスとしては多人数ですが、保育士の数も多いので子ども一人ひとりに目が行き届き、子どもたちは安心して過ごしています。保育士がたくさん話しかけるので、月齢の低い子でもよく笑い、たくさん声がでています。

  

1歳児以上の子どもたちはリズム運動、リトミックをします。歌とともに動きがついており、子どもたちは大好きです。次から次へと休むことなく集中してリズム運動に打ち込み、体がばねのように見えます。体操の後の障害物運動では、かなり難度の高い障害物にも挑戦し、難なくこなしています。

  

散歩には2歳児以上は草履で出かけます。雨でない限り毎日散歩をしているためか、月齢が低い子どもでも、長い距離を歩くことができます。歩くスピードは早いですが、子どもたちは散歩の途中で目にする町の様子や季節の移り変わりを楽しむ余裕があります。

  

子どもたちは、リズム運動をしているとき、元気いっぱいで思い思いに自己表現をしています。表情が豊かで、よく笑い、よくしゃべります。また、幼いときから身体機能を充実させる運動をしているためか、子どもたちは体が柔軟で、よく動き、よく歩きます。

    

2保育士は、園の理念に基づいて子ども一人ひとりに向き合い、保育に励んでいます

 

 

ムーミン保育園は、横浜保育室としての歴史が長く、園舎が狭い上に0歳児の中でも月齢が低い子どもが多いという状況があります。随時入園、随時退園ができ、子どもたちの数は絶えず変わっています。そのため、保育士はクラスを長期的な視野にたって運営することが難しく、絶えず指導計画の見直しを行っています。また、年度途中での保育室の移動や、パート職員の入れ替わりもあります。今年度も0歳児はさらに増える予定で、産休明けの子どもの入園も複数名予定されています。

  

このような難しい状況の中、保育士はよくまとまって連携もよく、全体を見通して子どもたちを上手に移動させながら保育を行っています。毎日のミーティングを通して個々の子どもたちに関する情報は共有されており、保育士はみんな、他のクラスの子どもたちのこともよく知っています。人数が増えたクラスは発達に合わせていくつかのグループに分け、子どもたちの発達段階に応じて必要な支援を行っています。保育士は一人ひとりに向き合い、個々の子どもの発達に合わせた保育をしていますので、子どもたちは落ち着いています。

 

  

ムーミン保育園の保育の質を確保し、午前睡眠やつむぎ体操などの独自の取り組みをスムーズに行うため、保育士は絶えず研鑽に励んでいます。毎月の職員勉強会や職員会議では、園の保育方針や子どもの発達・生活リズムについて勉強しています。懇談会や保育計画などの準備、自分自身の疑問点や保護者からの質問などは、自分自身で調べ、考え、園長・主任の指導を受けるという体制ができています。また、日々の保育の中でも園長・主任から助言・指導を受けています。

 

  

保護者アンケートでも「大変良くしてもらっています」「どの先生も信頼できます」との感謝の言葉がみられました。保育士は園の保育理念をよく理解し、実践しています。

 

   

3保育目標に「障害児保育」「統合保育」を掲げ、障がい児を積極的に支援しています

 

  

週に2回、障がい児教育を専門とする職員が、障がい児や特別支援が必要な子どもに対して、少人数グループによる個別指導を行っています。職員は園の特色である体操(つむぎ体操)、リトミック、障害物運動、手先を使った作業などを、子どもたちとじっくり向き合い、子どもたちのペースに合わせて指導しています。子どもたちは、のびのびとうれしそうに取り組んでいて、できた喜びと自信を味わっています。個別指導の後の子どもたちは満足気で、自分のことをたくさん話しています。個別指導で得たものがクラスでの一斉活動でも活きており、障がい児たちは積極的にクラスの友達と一緒にリトミックや障害物に挑んでいます。

  

保護者とは、朝夕の送り迎え時のやりとりや連絡ノートで情報の共有を図っています。障がいの特性を考慮した一人ひとりの指導計画を作成するとともに、34ヶ月ごとに現在の様子、全体像、総合所見、今後の課題などを「あゆみ」に記録し、評価・見直しを行っています。保護者にも定期的に面談し、「あゆみ」を見せ、先の見通しについて話し合い、園と家庭が連携して一貫した支援ができるようにしています。

  

障がいがない子どもと障がいがある子どもの関係についても、「障がいの有無を認め、共有しあい育ちあっていく関係を作るよう」配慮しています。必要な場合には、障がいがある子どもの保護者との話し合いの上、了解を得て、クラスの子どもたちへ障がいについて子どもにも理解できるように配慮しながら説明をしています。このような配慮のもと、障がいがない子どもたちはごく自然に障がいがある子どもたちと接し、必要なときには迷うことなく手助けをしています。

   

4系列のあそびの杜保育園と協力・連携して、保育の充実を図っています

  

園は隣接する同法人運営のあそびの杜保育園と一斉活動や行事など保育の多くの部分を協力、連携して行っています。特に34歳児は一日の中のいろいろな場面で、あそびの杜保育園の子どもたちと交流しています。一緒に活動することにより、幼児は集団での遊びや活動、行事が保障され、仲間とのふれあいの中でたくさんのことを経験し、成長することができます。

  

2園が協力して保育を行うことにより、少人数での保育、あるいは集団での活動など、保育の目的にあわせて、場所を確保することができます。子どもたちは2つの園の間を、目的に合わせて活動ごとに行き来しており、天候や子どもの状態までを計算に入れて毎日、保育環境を整えています。

  

また、保育士はあそびの杜保育園が実施している地域の子育て支援事業にも協力・参加しています。

   

■■ 独自に取り組んでいる点 ■■

  

■ 子どもたちの生体の生活リズムを大切にし、保育しています

  

  園は子どもたちの「生体の生活リズム」を大切にし、早寝、早起き、午前睡眠(午前中の昼寝)などを実践できるようにしています。午前9時から10時半くらいまで、体操や運動、遊びでたっぷり体を動かした後、子どもたちは午前睡眠をとります。給食のときにはたっぷり寝ているので眠くなることもなく、よく食べます。給食の後には時間がたくさんあるので、余裕を持って散歩などの活動を行うことができます。子どもたちは、夕方の降園まで元気いっぱい、大きな声を出して過ごしています。

  

   このような保育を実践するためには、早寝・早起きなど家庭の理解・協力が不可欠です。園では園の保育方針や子どもの発達・生活リズムについて、園のしおりに明記するとともに、入園説明会や懇談会、保護者参観、面接などで説明するほか、年度始めには園児の生活リズムについての自己点検表を配布しています。また年に4回、保護者向けに学習会を開き、保護者が園の方針や「生体の生活リズム」を理解できるように努めています。この結果、保護者アンケートでも97パーセントの保護者が保育方針・園目標を知っており、そのうちの94パーセントが賛同しているという答えでした。

   

◇◇ さらなる工夫が望まれる点 ◇◇

   

1保護者が保育士の名前と顔を覚えやすいように、さらなる工夫が望まれます

 

  

 朝、夕の送迎時には、隣接するあそびの杜保育園と協力して保育を行っており、時間によってはたくさんの職員が一つの部屋にいます。その上、年度途中でのパート職員の出入りが多いこともあり、保護者は職員の名前と顔を認識することが難しいようです。保護者アンケートでも「顔すら知らない先生がいる」「名前がわからないので、先生の名前がわかるようにしてほしい」「名札をつけてほしい」などの声があります。

 

 

 

 保護者と連携し、保育の質を高めるためには、保育士の名前と顔を覚えてもらうことが大切と思われます。園としても、年度始めには2園の保育士の顔と名前を紹介する手紙を出していますが、途中で入った保育士についてもその都度おたよりで紹介する、園内に掲示する、名札をつけるなどさらなる工夫が望まれます。

 

   

2、災害などに備え、避難路が誰にでも分かるような工夫が望まれます

  

   園は地震や火事など非常災害に備え、毎月子どもたちと一緒に、さまざまな場面を想定して2園合同で避難訓練を実施しています。また、災害時の手順や役割分担を保育室に掲示したり、同じ建物の一階にある郵便局と連携したりするなど、非常時に備えて努力しています。

  

  しかし、園の構造上の問題もあり、保護者や初めての来園者には避難路を一目でつかむことが困難です。園児の安全をより確実にするとともに、保護者の安心のためにも、非常口や避難路を誰にでも一目で分かるようにする工夫が望まれます。

 

  

評価領域ごとの特記事項

1.人権の尊重

  保育方針および目標として「子育ての科学に基づき、ヒトとしての生体の生活リズムを守り育て、子どもの発達を保障する保育」を掲げ、利用者本人を尊重したものとなっています。

  

  保育士は、子どもの話を相対してじっくり聞くように心がけており、せかすことなく、分かりやすい言葉で接しています。

  

  個人情報の取り扱いや、守秘義務についてのマニュアルがあり、職員に周知しています。ボランティア・実習生にも守秘義務について説明しており、個人情報誓約書を提出してもらっています。

  

  虐待については「児童虐待の定義」として業務マニュアルの中に収め、職員は理解しています。

  

  虐待が疑わしい場合には、区役所、児童相談所と連携を取り合って、対処する体制ができています。

  

  職員は、順番やグループ分け、役割について性差で固定的にとらえた話し方をしないように、ミーティング等で話し合っています。園のしおりにも、性差による分業意識を植え付けないよう配慮することを明記しています。

    
2.意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

  園舎はせまいですが、保育室内は、可動式の仕切りを用いて目的に合わせたスペースを作っています。また、隣接するあそびの杜保育園と協力して子どもたちの活動の場所や時間を調整することで、音楽や保育者の声、子どもたちの体操の音などが騒音にならないよう工夫しています。

  

  リトミックや製作などの一斉活動は、あそびの杜保育園と協力・連携して行い、集団で活動する場を確保しています。

  

  園内は、清掃マニュアルに基づき清掃していますが、まだ不十分な部分が見受けられました。

  

  保育士は、子どもの年齢や発達に応じて、運動能力を高める運動や遊びをさまざまな形で取り入れており、こどもたちは手足をよく動かしながらさまざまな運動を体験しています。

  

  保育士は乳児には歌とともに体を動かす体操(つむぎ体操)をしています。1歳以上の子どもたちはピアノに合わせて歌いながら、全身を動かしてリズム運動を楽しんでいます。

  

  散歩にはほとんど毎日出かけています。2歳児以上の子どもたちは、草履で散歩に出かけています。

  

  園は午前睡眠(午前の昼寝)を方針としています。冬季には、午前睡眠の前に足湯をして、身体を温めてから寝るようにしています。

  

  栄養士は、季節感のある献立作りを心がけ、行事食も提供しています。また、素材を活かした味を大切にしており、カレー風味などを取り入れて塩分を下げる工夫をしています。

  

  食材は、地域の商店から仕入れるときにも、国内産、安全性を念押しして仕入れるようにしています。

  

  クラス懇談会の後に給食試食会を設け、保護者が子どもと一緒に同じメニューを食べ、栄養や味付け等を実際に体験することができる機会を提供しています。

  

  散歩で商店街を通るときには、商店の人とあいさつを交わしています。また、お泊まり保育のときには買い物に行ったり、商店街の中にある銭湯を利用したりしています。

    
3.サービスマネジメントシステムの確立

  年間の保育計画は、前年度の職員会議において全職員で子どもの発達状況について話し合い、作成しています。

  

  子どもの発達や状況に応じて、指導計画の作成・評価・見直しを行っています。指導計画の評価・改訂にあたっては、毎月のクラス会議で子どもの発達や状況について話し合い、原案を作成しています。作成された月間計画は園長・主任の助言・指導を受けた後、全職員と保護者に周知しています。

  

  園の目標の1つに「障害児保育」を掲げ、障がい児を積極的に受け入れています。障がい児や特別支援の必要な子どもに対しては週2回、障がい児教育専門の職員が少人数で個別指導を行っています。

  

  要望や苦情を受け付け、対応するためのマニュアルがあります。要望・苦情の受け付け担当者は、各クラス担任としており、苦情受付の仕組みは園の入り口に掲示しています。

  

  権利擁護機関などの他機関の苦情解決窓口は紹介していません。

  

  健康管理、衛生管理、安全管理のマニュアルがあり、職員に周知しています。

  

  保育室内は、一部に転倒防止対策が施されていない棚などがあります。

    
4.地域との交流・連携

  系列のあそびの杜保育園が、区役所、地域ケアプラザ、近隣の保育所等と連携をとり、子育て支援活動を行っています。ムーミン保育園の職員もその活動に協力しています。

  

  交流保育等を通して、地域住民の子育てに関する相談を受けています。また、地域住民に向けて学習会や講演会を開催しています。

  

  地域の自治会に所属し、公園の掃除などは園児も一緒に行っています。

  

  園のしおりや独自のホームページ、市の保育情報ホームページ、地域の子育て情報誌にも情報を掲載しています。

    
5.運営上の透明性の確保と継続性

  守るべき法・規範・倫理等は法人の就業規則に明文化され、職員に周知しています。

  

  保育方針および目標を明記した園のしおりを全職員に配布するとともに、園長・主任が、保育理念や基本方針を職員会議やクラス会議、職員勉強会、ミーティング等で職員に繰り返し周知しています。また、日常の保育の中でも、必要に応じて伝えています。

  

  主任は、職員による保育日誌の記述内容や子どもとのかかわり、親とのコミュニケーションなどの日常の業務を通して、個々の職員の業務内容を把握しています。主任は個々の職員の把握した内容に応じて、的確な助言や指導を行っています。

  

  幹部職員は将来に向けての思いや考えを話し合っていますが、中長期計画として明文化はしていません。

    
6.職員の資質向上の促進

  全職員が「自己評価」「振り返り」「目標」を職員アンケートに記入して提出し、それに基づいて園長が面接を実施しています。面接では目標の達成具合を確認し、アドバイスをした上で、次年度の目標を確認、設定しています。また、年度終わりの職員会議で、職員はそれぞれ今年度の反省と次年度の目標を発表しています。

  

  職員が疑問に思ったことや保護者からの質問で分からないことは、自分で調べた上で園長・主任に相談し、指導を受けています。

  

  また、保育参観や懇談会において、保育方針やクラスの課題について担任が発表する機会を設け、担任が自分でレポートの作成や資料を準備し、園長・主任の指導を受け発表するなど、自己研鑽できる体制があります。

  

  外部研修は職員自身が希望する研修を選択し、おおむね全員が年1回は参加しています。研修に出た職員は、ミーティングでその成果を報告しています。また、非常勤職員も希望すれば外部研修を受講することができます。

  

  園児数の変化にともない、年度途中で入職する職員が多いです。新しく入職した職員に対しては、見学時や採用面接時に園の理念・方針について説明するとともに、主任が研修責任者となり、日々の保育の中で助言・指導を行っています。また、毎月の職員会議、クラス会議、職員学習会で繰り返し周知しています。

  

  保育の中で子どもとともに、職員集団も成長することを目指しており、スキルを上げるために必要な目標は口頭で伝えていますが、明文化していません。

    
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