| 【施設の概要】 ムーミン保育園は相鉄線「西横浜」駅から歩いて6分、商店と住宅が混在する地域にあります。近くには藤棚商店街があり、園舎の南側には大谷公園があります。 施設定員(産休明け~5歳児)は70名、2歳児以下の定員は46名です。随時入・退園ができるため、在籍児の人数は一定しません。平日の開園時間は7時から20時、土曜日は7時から16時30分です。鉄筋コンクリート3階建ての建物の2、3階を園舎として用いています。1階には郵便局が入っています。保育園のために建てられた建物ではありませんが、工夫して用いています。 当園は1980年(昭和55年)に無認可保育所「ムーミン乳児保育園」として開園し、1997年(平成9年)に横浜保育室の認定を受けました。2005年(平成17年)に特定非営利活動法人「ムーミンの会」を設立し、園の運営にあたっています。隣には、2006年(平成18年)開設の同じ法人が運営する認可保育所「あそびの杜保育園」があります。乳児のみで運営している横浜保育室が多い中で、当園は5歳児までを受け入れ、認可園と同じような取り組みを行っています。(現在、ムーミン保育園には5歳児が在籍していません) 保育目標として「子育ての科学に基づき、ヒトとしての生体の生活リズムを守り育て、子どもの発達を保障する保育」を掲げています。具体的には、「生活に科学的視点を持った保育」「障害児保育」「快食保育」「ヒトとしての発達の保障をする保育」「仲間と向かい合い、育ち合う保育」となっています。 ◆◆ 高く評価できる点 ◆◆ ◆1、子どもたちは思いっきり体を動かして、一日を過ごしています 子どもたちは毎日、リズム体操やリトミック、体操、障害物あそび、縄跳びなど、体をたくさん動かし、生き生きと園生活を過ごしています。 保育士は乳児と一対一で全身運動(つむぎ体操)をします。足から全体へと保育士は歌いながら一つひとつ丁寧に体操をします。少し月齢が高い子は保育士に腰を支えてもらって手押し車になって歩いたり、ボールを追いかけて遊んだり、ハイハイで移動したりします。0歳児クラスとしては多人数ですが、保育士の数も多いので子ども一人ひとりに目が行き届き、子どもたちは安心して過ごしています。保育士がたくさん話しかけるので、月齢の低い子でもよく笑い、たくさん声がでています。 1歳児以上の子どもたちはリズム運動、リトミックをします。歌とともに動きがついており、子どもたちは大好きです。次から次へと休むことなく集中してリズム運動に打ち込み、体がばねのように見えます。体操の後の障害物運動では、かなり難度の高い障害物にも挑戦し、難なくこなしています。 散歩には2歳児以上は草履で出かけます。雨でない限り毎日散歩をしているためか、月齢が低い子どもでも、長い距離を歩くことができます。歩くスピードは早いですが、子どもたちは散歩の途中で目にする町の様子や季節の移り変わりを楽しむ余裕があります。 子どもたちは、リズム運動をしているとき、元気いっぱいで思い思いに自己表現をしています。表情が豊かで、よく笑い、よくしゃべります。また、幼いときから身体機能を充実させる運動をしているためか、子どもたちは体が柔軟で、よく動き、よく歩きます。 ◆2、保育士は、園の理念に基づいて子ども一人ひとりに向き合い、保育に励んでいます ムーミン保育園は、横浜保育室としての歴史が長く、園舎が狭い上に0歳児の中でも月齢が低い子どもが多いという状況があります。随時入園、随時退園ができ、子どもたちの数は絶えず変わっています。そのため、保育士はクラスを長期的な視野にたって運営することが難しく、絶えず指導計画の見直しを行っています。また、年度途中での保育室の移動や、パート職員の入れ替わりもあります。今年度も0歳児はさらに増える予定で、産休明けの子どもの入園も複数名予定されています。 このような難しい状況の中、保育士はよくまとまって連携もよく、全体を見通して子どもたちを上手に移動させながら保育を行っています。毎日のミーティングを通して個々の子どもたちに関する情報は共有されており、保育士はみんな、他のクラスの子どもたちのこともよく知っています。人数が増えたクラスは発達に合わせていくつかのグループに分け、子どもたちの発達段階に応じて必要な支援を行っています。保育士は一人ひとりに向き合い、個々の子どもの発達に合わせた保育をしていますので、子どもたちは落ち着いています。 ムーミン保育園の保育の質を確保し、午前睡眠やつむぎ体操などの独自の取り組みをスムーズに行うため、保育士は絶えず研鑽に励んでいます。毎月の職員勉強会や職員会議では、園の保育方針や子どもの発達・生活リズムについて勉強しています。懇談会や保育計画などの準備、自分自身の疑問点や保護者からの質問などは、自分自身で調べ、考え、園長・主任の指導を受けるという体制ができています。また、日々の保育の中でも園長・主任から助言・指導を受けています。 保護者アンケートでも「大変良くしてもらっています」「どの先生も信頼できます」との感謝の言葉がみられました。保育士は園の保育理念をよく理解し、実践しています。 ◆3、保育目標に「障害児保育」「統合保育」を掲げ、障がい児を積極的に支援しています 週に2回、障がい児教育を専門とする職員が、障がい児や特別支援が必要な子どもに対して、少人数グループによる個別指導を行っています。職員は園の特色である体操(つむぎ体操)、リトミック、障害物運動、手先を使った作業などを、子どもたちとじっくり向き合い、子どもたちのペースに合わせて指導しています。子どもたちは、のびのびとうれしそうに取り組んでいて、できた喜びと自信を味わっています。個別指導の後の子どもたちは満足気で、自分のことをたくさん話しています。個別指導で得たものがクラスでの一斉活動でも活きており、障がい児たちは積極的にクラスの友達と一緒にリトミックや障害物に挑んでいます。 保護者とは、朝夕の送り迎え時のやりとりや連絡ノートで情報の共有を図っています。障がいの特性を考慮した一人ひとりの指導計画を作成するとともに、3、4ヶ月ごとに現在の様子、全体像、総合所見、今後の課題などを「あゆみ」に記録し、評価・見直しを行っています。保護者にも定期的に面談し、「あゆみ」を見せ、先の見通しについて話し合い、園と家庭が連携して一貫した支援ができるようにしています。 障がいがない子どもと障がいがある子どもの関係についても、「障がいの有無を認め、共有しあい育ちあっていく関係を作るよう」配慮しています。必要な場合には、障がいがある子どもの保護者との話し合いの上、了解を得て、クラスの子どもたちへ障がいについて子どもにも理解できるように配慮しながら説明をしています。このような配慮のもと、障がいがない子どもたちはごく自然に障がいがある子どもたちと接し、必要なときには迷うことなく手助けをしています。 ◆4、系列のあそびの杜保育園と協力・連携して、保育の充実を図っています 園は隣接する同法人運営のあそびの杜保育園と一斉活動や行事など保育の多くの部分を協力、連携して行っています。特に3、4歳児は一日の中のいろいろな場面で、あそびの杜保育園の子どもたちと交流しています。一緒に活動することにより、幼児は集団での遊びや活動、行事が保障され、仲間とのふれあいの中でたくさんのことを経験し、成長することができます。 2園が協力して保育を行うことにより、少人数での保育、あるいは集団での活動など、保育の目的にあわせて、場所を確保することができます。子どもたちは2つの園の間を、目的に合わせて活動ごとに行き来しており、天候や子どもの状態までを計算に入れて毎日、保育環境を整えています。 また、保育士はあそびの杜保育園が実施している地域の子育て支援事業にも協力・参加しています。 ■■ 独自に取り組んでいる点 ■■ ■ 子どもたちの生体の生活リズムを大切にし、保育しています 園は子どもたちの「生体の生活リズム」を大切にし、早寝、早起き、午前睡眠(午前中の昼寝)などを実践できるようにしています。午前9時から10時半くらいまで、体操や運動、遊びでたっぷり体を動かした後、子どもたちは午前睡眠をとります。給食のときにはたっぷり寝ているので眠くなることもなく、よく食べます。給食の後には時間がたくさんあるので、余裕を持って散歩などの活動を行うことができます。子どもたちは、夕方の降園まで元気いっぱい、大きな声を出して過ごしています。 このような保育を実践するためには、早寝・早起きなど家庭の理解・協力が不可欠です。園では園の保育方針や子どもの発達・生活リズムについて、園のしおりに明記するとともに、入園説明会や懇談会、保護者参観、面接などで説明するほか、年度始めには園児の生活リズムについての自己点検表を配布しています。また年に4回、保護者向けに学習会を開き、保護者が園の方針や「生体の生活リズム」を理解できるように努めています。この結果、保護者アンケートでも97パーセントの保護者が保育方針・園目標を知っており、そのうちの94パーセントが賛同しているという答えでした。 ◇◇ さらなる工夫が望まれる点 ◇◇ ◇1、保護者が保育士の名前と顔を覚えやすいように、さらなる工夫が望まれます 朝、夕の送迎時には、隣接するあそびの杜保育園と協力して保育を行っており、時間によってはたくさんの職員が一つの部屋にいます。その上、年度途中でのパート職員の出入りが多いこともあり、保護者は職員の名前と顔を認識することが難しいようです。保護者アンケートでも「顔すら知らない先生がいる」「名前がわからないので、先生の名前がわかるようにしてほしい」「名札をつけてほしい」などの声があります。 保護者と連携し、保育の質を高めるためには、保育士の名前と顔を覚えてもらうことが大切と思われます。園としても、年度始めには2園の保育士の顔と名前を紹介する手紙を出していますが、途中で入った保育士についてもその都度おたよりで紹介する、園内に掲示する、名札をつけるなどさらなる工夫が望まれます。 ◇2、災害などに備え、避難路が誰にでも分かるような工夫が望まれます 園は地震や火事など非常災害に備え、毎月子どもたちと一緒に、さまざまな場面を想定して2園合同で避難訓練を実施しています。また、災害時の手順や役割分担を保育室に掲示したり、同じ建物の一階にある郵便局と連携したりするなど、非常時に備えて努力しています。 しかし、園の構造上の問題もあり、保護者や初めての来園者には避難路を一目でつかむことが困難です。園児の安全をより確実にするとともに、保護者の安心のためにも、非常口や避難路を誰にでも一目で分かるようにする工夫が望まれます。 |