[施設の概要] 横須賀愛光園は平成4年6月に開設され、17年になる介護老人福祉施設です。運営母体である社会福祉法人聖隷事業団は、昭和5年に慈善事業として結核患者の収容保護事業を浜松市にて開設しています。昭和14年には事業内容を嫌う住民の反対運動により事業閉鎖に追い込まれましたが、天皇陛下よりの御下賜金に救われた歴史が有ります。その後、時代の推移と共に全国的に医療・福祉・保健・介護サービスを柱とする総合的なヒューマンサービスを提供する福祉事業団に発展した、9000人規模の事業団です。 当事業団の基本理念である「隣人愛」に基づき、①いのちと尊厳のために ②利用される人々のために ③地域社会とともに ④未来を築く ⑤最高のものを、を聖隷事業団職員の使命としています。横須賀愛光園では、これらの精神を基に、「安心して、明るく楽しくいきる」を施設の理念として運営されています。
施設規模は、福祉施設定員80名、短期入所16名ですが、この他に横須賀市西第二地域包括支援センターの受託業務、地域の高齢者を対象とした配食サービス及びデイサービスを運営しています。これらを支える職員数 約80名の愛光園は、同事業団の強力な組織力に支えられると共に充実した家族懇談会との連携の下、地域福祉の拠点として、横須賀市西部地域に定着しています。 ≪優れている点≫ 1.質の高いサービス提供の基になる職員育成 横須賀愛光園は、社会福祉法人の一つである聖隷事業団の一翼を担うと共に同事業団本部の組織力をはじめ、教育体制、福利厚生に至るまで、優れた環境に支えられています。社員の教育については、事業団職員の五つの使命を柱に計画的な職員研修が実施されています。新入社員から中堅社員、管理者にいたる職位を6段階に区分し、それぞれに期待される職員像が明確に示されると共に、自己啓発で到達すべき目標が明示されています。これに加えて、中途に採用された職員の教育コースも設定されています。更には、意欲のある社員には資格取得に向けた奨学金制度が完備され、人材育成の環境は整っています。質の高いサービス提供の基盤や原動力は人材の意識・教育によるところが大きく、労使共に組織を挙げて介護サービスの向上に取り組んでいます。 2.職場の自主性を尊重した部門管理サイクルの徹底 横須賀愛光園の運営体制は平成19年度より、2階・3階にそれぞれ従来型とユニット型の合計4部門に再編成されました。これに在宅部門、管理・総務部門と合せて大きく6部門にて運営されています。年度事業計画の推進に当っては、事業所の理念である「安心して、明るく楽しく生きる」を基本として利用者を中心に運営されています。 事業計画の推進はトップダウンではなく、介護の第一線で働く職員及び各部門の自主性を尊重し、その課題を重点施策事項として設定することにより、施設の総力を結集しています。 職員全員が実施する法人独自の自己評価による業務の改善や、最近ではパソコン等の情報機器の活用のよるケアプランの作成等業務の省力化を目指した取組みも開始しています。 ① 各部門は日常業務の中から課題とする事項を施設長に提案する。施設長はそれらを取りまとめ、年度の重点施策事項に設定します。 ② 重点施策事項に対して各部門及び各職員は自身の行動目標に展開し自主的に管理し改善活動に繋げています。 ③ 施設長は定期的に行動目標の達成状況を評価し、次年度へと繋げています。 これらの管理サイクルを通し各部門は会議にて共有・連携した介護サービスを提供しています。 3.家族懇談会との連携による安心できる介護サービス 横須賀愛光園は立地条件から、利用者及び家族は三浦半島に住む方々が多く、発足当時より家族懇談会が設けられており、年間に4回(3月、6月、9月、12月)開催されています。活動の毎回の参加率は50%を超えています。家族会では、施設側との各種の情報交換は勿論の事、ピュアカウンセリングによる家族同士の悩みを交換する事により、相互に癒される場面がもたれています。 現在の利用者は109歳(調査時)を筆頭に80人が生活していますが、職員には、『老いの“こころ”と“からだ” 老人の幸せとは何か』など高齢者と看取りに関する教育が実施されていました。愛光園では事業計画においても施設全体を「大きな家族」とみなして取組んでおり、利用所の看取りにも取組んでいます。その結果、利用者の8割の方が愛光園で人生を終えられており、毎年15人程の看取りが行われています。理念の如く「安心して、明るく楽しく生きる」の実践に向けた介護サービスが提供されています。 ≪改善する事が期待される事項≫ 1.原因分析によるインシデント防止対策の推進 インシデント(重大事故に至る可能性がある事態が発生し、なお実際には事故につながらなかった潜在的事例)は報告体制ができており、年間に300件報告されています。現在、フロア単位で実施され再発防止対策は業務日誌に貼り付けて周知しています。施設全体としては「リスクマネジメント・拘束廃止検討委員会」にて分析や防止対策を検討しています。これらのインシデントは隠蔽されることなく、事実に基いて報告されており、事故防止の観点からは良い風土が造られています。しかし、インシデントが減少しない事、事故及び再発防止対策が部門間で充分に共有化されていない状況も一部に見受けられます。したがって、全施設的な観点から、事故の真の原因を追究する「品質管理の手法」等を活用した分析手法の検討と防止対策についての全部門間の共有化が期待されます。 2.生活支援・生活環境整備マニュアルの整備 横須賀愛光園には事業団として策定された基本的な介護マニュアルは整備され、一部は見直しされ、活用されています。しかし、介護体制の見直しに伴い、環境整備に関するマニュアルへの反映や共有化には尚検討の余地が見受けられます。当施設では、今回の第三者評価の機会に、マニュアルの見直しの必要性について自己評価され、平成21年度の事業計画には「介護マニュアルの見直し」を重点施策の一項目に加え、職員の力を結集して取り組む事としています。その成果が期待されます。 |