神奈川県三浦しらとり園 PDF 印刷 Eメール
 

総 括

評価機関名福祉サービス第三者評価機関 有限会社 コモンズ二十一研究所
評価実施年月200711月~20083
公表年月平成20年4月
対象サービス知的障害者入所更生施設
対象事業所神奈川県 三浦しらとり園
所在地横須賀市長沢4-13-1

総合評価(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項)

【施設の概要】

 

 昭和38年1月に知的障害児施設「長沢学園」(定員100名)として開設され、昭和58年障害児・者併設として再スタートしました。三浦半島にあり、海に近い恵まれた環境です。地域の要望により通所も併設しています。近隣に新入所施設が完成し、障害の軽い人を中心に2度にわたって移動した結果、入居者の重度化が進んでいます。(障害程度区分4・5・6中心)また、長年にわたり入所している利用者の高齢化も徐々に進み、最年長者は75歳となりました。現在定員120人(現員103名)が入所、生活スタイルや障害特性、年齢などを加味して、6つの寮制になっています。

  

<特  長>

 

(1)強度行動障害者の受入れ

 

 強度行動障害や自閉的傾向の高い重度の方(障害程度区分4・5・6中心)を受け入れています。強度行動障害者のための治療教育プログラムの導入がされ、個々の利用者ごとにカードの作成や、作業室などにプログラムの流れが、写真など視覚的にわかりやすく表示されています。

 

 

(2)個別支援によるサービス提供

 

 個々の状態に応じたきめ細かなサービス提供(外出・食事提供等)が行われ、課題抽出と個別支援計画の見直しの仕組みができています。さらに、サービス提供の中で、特に重要な課題については、別様式を用いて抽出し、月ごとに見直し検討する機会を設け、半年後に評価して、課題の達成状況を確認しています。

 

 

(3)専門的人員の配置

 

 本館2階に診療所が併設され医師、看護師が常駐しています。また、心理判定員やケースワーカーが常勤し、それらの専門職と連携した支援ができる仕組みがあります。

 

 

(4)風通しのよい組織づくり

 

 職員が所属を越え、約10委員会を構成(臨時職員も参加)し、年10回前後開催されています。委員会間の連携もあり、各業務の実施・調整の役割を果たしています。例えば、リスクマネジメント委員会で分析した飲み込みに関するリスクを保健食生活委員会で対策案を検討する等、効果的に機能しています。また、重要な意思決定については運営会議で、緊急性のあるものは朝の連絡会で、いずれも文書にて配布、職員へ説明がなされています。

 

 

(5)計画的な研修の実施

 

 研修・広報委員会が設置され、研修計画は、年間運営計画に盛り込まれ、「研修研究(課題研修、階層別研修)」、「医療事務研修」、「強度行動障害」に分けられ計画が立てられています。また、研修・広報委員会以外の委員会も必要に応じて研修を随時開催しており、研修・広報委員会が調整をしています。

  

(6)マニュアル・要綱の充実

 

 事故対応マニュアル等、約30の業務マニュアルがあります。各委員会等で作成され、年に1回見直され、標準化を図っています。また、ボランティア活動受け入れ要領、話そう会運営要領等を約30程度定め、円滑な運営に努めています。

 

 

(7)環境配慮への取り組み

 

 H19年度の基本方針のひとつとして、「ISO14001の理念に基づき、環境に配慮した施設運営を進めます」を掲げています。ESCO事業に取り組み、9年間で二酸化炭素削減率12%、省エネルギー率5%をめざしています。その他に、ごみの分別や、作業での空き缶つぶしや古着の収集の実施、食事の残量の軽減、再生紙の利用などをしています。

 

 

   

<工夫や改善が必要な点>

 

(1)利用者の意向把握とそれに基づいたサービス提供の工夫を

 

 アセスメント表や個別支援計画書などの様式は個々のニーズや家族のニーズを聴き出せるものとなっていますが、実際の計画書の内容と支援プログラムは、課題の抽出からくる課題解決に対しての取り組みが多くなっていました。人は誰しも、ただ単に課題に取り組むのでは、やる気は起きにくいものです。自分のニーズ実現のために、そのニーズに付属する課題に取り組む方が、やる気を引き出し活き活きと取り組むことができるのではないでしょうか。 知的障害児・者施設の社会的役割やノーマライゼーションを考えた場合においても、個々の利用者のニーズを中心に他のプログラムを構築し、やる気を引き出していくような、その人らしい自立や地域生活の実現に向けた計画やプログラムが期待されます。

 

 

(2)個々の利用者全員の自立や地域生活移行に向けた取り組みを

 

  支援計画の作成に当たって、アセスメント票には「暮らし調査」「社会生活スキル」などの項目が設けられる他、「利用者の望む暮らし」調査が実施され、その中で、「将来暮らしたい場所」や「地域生活を送る上で必要なもの」等を調査しています。しかしながら、個々の利用者の課題の抽出はされているものの、個々の利用者の望む、地域生活移行後のイメージを実現させるための支援プログラムや、計画書を作成するまでには至っていないことが惜しまれます。

 施設内適応になりがちな強度行動障害者も含めて、全ての利用者の「地域での自立像」を明確にし、「地域での自立像」に向けてどのように取り組めば、個々の利用者の地域での自立が実現するか等について、検討していくことが期待されます。

 

 

(3)サービスの質の統一を

 

 マニュアルや要綱は充実し、サービス向上委員会もあり、人権アンケートなどを実施するなど、サービスの向上に努めていますが、保護者アンケートでは「職員のサービスの質の統一性」について「やや不満」がありました。実際に一部の場面では、言葉遣いや関わり方にバラツキが見られました。今後はマニュアルに沿って職員一人ひとりのサービスの質をチェックする等、サービスの質の統一が望まれます。

 

 

評価領域ごとの特記事項

1.人権の尊重

「一人ひとりの意思を尊重します」等の方針のもと、人権ハンドブック「生きてるっていいなⅢ」、職員の言葉使い及び態度マニュアル、身体拘束ゼロマニュアルも作られていて、毎年人権委員会が見直しています。しかしまだ意識には差があり、今後、全職員が理念に基づくサービス提供を、日々の支援のなかでどのような形で具現化すべきかを常に意識し、確認しあって、さらなる利用者本位のサービス提供を目指していくことを期待します。

 

 

2.意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

基本理念「よりよい地域での生活をめざします」が明記され、「しらとり園地域生活移行プラン」が作成され、地域生活移行支援委員会や、園長特命プロジェクトを立ち上げ、地域生活に向けた取り組みが検討されています。「利用者の望む暮らし」調査が実施されていますが、生かしきれていない部分もあります。今後、個々の利用者の望む、地域生活移行後のイメージを実現させるための支援プログラム等の取り組みが期待されるところです。

 

 

3.サービスマネジメントシステムの確立

各委員会の活動が活発で、多数のマニュアルが作られています。食事では、各寮職員と栄養士、看護師、管理職からなる保健食生活委員会があり、食事介助方法や雰囲気作り、食事介助時に起こりやすい事故防止策等の検討がされています。「話そう会(利用者本人たちの会)」やバイキング等の機会を利用して栄養士も直接利用者の要望を把握し、献立作成に生かしています。

 

 

4.地域との交流・連携

健康管理では、健康管理マニュアル、利用者健診計画、また、利用者全員の個別健康カードがあり、リスクマネジメント委員会が薬に関する事故、インシデントについて定性分析を行い、保健食生活委員会が具体的な対策を検討しています。

 

 

5.運営上の透明性の確保と継続性

日常的に多くのボランティアが園で活動しています。また、地域住民を招待してオープンデイを開催、また長沢地区連合夏祭りの会場ともなっており、神輿が揃い、屋台なども出るほどの賑わいで地域と協力して行なっています。施設の体育館は横須賀学院・NTTボランティアコンサート・横須賀海軍クリスマスイベント等に開放し、プールも地域の障害者作業所が利用しています。

 

 

6.職員の資質向上の促進

事業者として守るべき、法・規範・倫理等については、県の懲戒処分の指針が改正される度に職員へ指針を配布し、徹底を図っています。また、運営に関しては、オンブズパーソンや第三者委員、利用者の方の成年後見人である弁護士や行政書士がおり、助言をしてもらっています。ESCO事業にも取り組んでいます。

 

 

 評価結果詳細(PDF 818KB