【施設の概要】 児童養護施設・春光学園は、太平洋戦争終結後の昭和20年12月に、戦災孤児の養護と福祉を目的に設立されました。現在は定員85名(2~18歳)の子どもたちの生活の場であり、居住スペースは、幼児寮・男子寮・女子寮の3つの寮からなる大舎制となっています。子ども達はここから幼稚園や学校に通っています。JR横須賀線「衣笠駅」から徒歩10分程度、地域の商店街に近接し、周辺には一般住宅も多く、海に近い静かな環境の中に位置しています。 地域行事を通じた地元町内会との交流はもとより、戦後に設立された背景から、米軍横須賀基地や防衛大学校との交流も盛んに行われています。また、ボランティアの協力をはじめ、地域の企業・学校・個人等からも多くの支援が寄せられています。 「雨風に負けず、たのしく働き、隣人を愛する人になる」という園誓のもと、「安全・安心な生活の確保と、心身の健やかな成長・社会的自立を支援すること」を基本理念として、日々子どもの健全な成長を見守り、社会性と自立心の獲得に向けた支援を実施しています。 【特に優れている点】 1. 子どもの支援に関する多面的な検討と情報共有の仕組み 当施設では、子どもの支援を検討するにあたり、カンファレンスを開催して、複数の職員の意見を盛り込み、多面的に検討しています。 子どもの自立支援計画は、子どもの意見や要望を加味した上で、担当職員を中心に各生活寮の主任などの意見を盛り込み、統括主任・施設長の確認を踏まえて作成することがルール化されています。施設長の「ケースカンファレンスは寮任せにしない」という方針のもと、複数の職員がカンファレンスに参加し、職員間で支援内容を共有するなど、組織的な支援体制を構築しています。 また、子どもの家庭復帰や問題発生時など、状況に応じて「ネットワークミーティング」を開催し、子どもの取り巻く様々な課題や課題解決に向けた支援方法の共有化を図っています。「ネットワークミーティング」には、児童相談所の職員や学校関係者など、子どもの直接処遇に当たる関係者が複数参加するほか、保護者も参加して、統一した見解のもと、より適切で多面的な支援の実現に努めています。 このように、子どもの意向を尊重し、関係者の様々な観点から支援内容が検討され、共有される仕組みは、特に優れています。 2. 「食」を重視した生活支援の取り組み 【改善を期待したい点】 1. より快適で家庭的な生活環境の実現を 国の方針で、小舎制の導入など、個別的なケアが推奨されており、当施設でも中高生に対しては個室や小人数構成の居室を提供するなど、個別ケアに向けた取組を進めています。 しかし、居住スペースの空調管理や採光、清掃状態など、施設内の快適性確保が課題となっています。また、子どもの聴き取り調査からは、現在の入浴回数や食事時間制限等、生活上のルールが多いことに関する要望も出ています。快適な生活環境は、子どもの健康や心身の健全な育成には大変重要です。今後は、快適で家庭的な生活環境の確保に向け、子どもたちとの意見交換をしながら、ハード面・ソフト面共に、施設生活の再点検をすることを期待します。また、今後は、幼児寮においても個別性を尊重し、家庭的な少人数ケアの実践に向けた取組を進めることが望まれます。 2.さらなる援助技術向上に向けた、支援手順の体系化とより専門的な研修の実施を 今年度に新施設長が着任し、早速、衛生管理や危機管理などのマニュアルや「預り金管理要領」を新たに整備したところです。しかし、子どもの日常的な支援マニュアルや処遇マニュアルはまだ作成されていません。アセスメント(課題分析)シートも、標準的な様式がありません。子どもに対する支援内容の差異を是正し、今後は、寮ごとや職員によって、差の出ることの無い支援を実施するために、標準的な支援の手順を定めることが期待されます。 また、不適切な関わりの防止については、対策としての職員研修や具体的な体制の構築が不十分です。今後は、問題行動の改善に向けた援助技術の研修の実施や支援技術を積極的に取り入れる等して、さらなる専門性を身に付ける努力をし、新施設長のもと、職員は一丸となって、子ども本位の支援のために、今後も取組を進めていくことを望みます。 3.感染症予防とまん延防止の対策と衛生管理意識の向上を 「衛生管理マニュアル」には、手指洗浄等の方法が記載され、「感染症対策マニュアル」には、感染症発生時対応についての記載がありますが、いずれも「感染症予防」についての記載がありません。各生活寮における子どもの生活において、また職員の支援場面においても、感染症予防及びまん延防止について、施設全体としての衛生管理意識の向上が求められます。各生活寮の洗面台などの共用のタオルについては、施設内感染予防のために、個別タオル、ペーパータオルやジェットタオルの導入等の早急な改善が望まれます。また、感染症まん延防止のために、今後は静養室を活用する等して、感染症に罹患した子どもの隔離の検討をすることが求められます。 |